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益榎

くちなし
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益榎 | コメント(0) | 2019/01/08 11:27

真白な午後


 後ろの窓からの光を受けて、栗色の髪はより明るく、鳶色の瞳は琥珀色に見えた。白い肌は光を受けてより白く、益々その人を人形めいたものに見せる。



 何を考えて居るのだろう



探偵の机に座って、机にその長い足を投げ出している。どこか浮かない表情・・・というよりは面白くないと言った表情だろうか。


 僕と一緒じゃあ面白くないですか



探偵は「和寅」と言うとすかさず僕は

 「和寅さんは買い物に行きましたよ、あんた見て居たでしょうに」

ああ、そうだったかなあと気の無い返事を返す。探偵閣下にしては静かな返しだ。

 「ふうん」

と、何を納得したのか分からないような声をだし、机の上に置いてある手紙の束をつまらなそうに見て居る。探偵宛に届いた彼のファンレターと言うものらしい。

いつもならとっくにどこかに出掛けて遊びに行って居るであろう、この主は何故か事務所に居て、大きな欠伸をしている。



 僕と居るとつまらないですか



 「いたっ!」

益田は探偵の上げた声に驚いて眺めていた新聞を投げ出し、ソファから立ち上がる。

 「どうしました?榎木津さん」

榎木津は眉を潜め、己の掌をもう片方の手で押さえている。指の隙間から、ポタリと紅い雫が落ちた。

 「ああ、指切っちゃったんですね」

見るとナイフが机の上に置いてある。ペーパーナイフでは無く普通のナイフだ。これで封筒の封を切ろうとしたのだろう。

 「見せて下さい」


 

 余りにも迂闊だ、せめて鋏で切ればいいのに。



陶磁器の様な指に、華やかな紅い牡丹の花が咲いたかの様な色合いに惹かれて益田はそれに口付ける。

 「んっ・・・」

口の中に広がる血の味。

普段は人を殴ったり、投げ飛ばしている手なのに酷く繊細な形をしている。

細くて、白いそれを彩る創を舐める。

 「あ、マス・・・ッ」

 「こんな創を付ける程」

 

 

 何を考えて居たんですか、あんた



問いながら舌を這わせる。

 「痛い」

創の部分を舐め、指の股に舌を這わせ舐める。一つ一つ。

 「言って下さい、何を」



 想っていたんです



掌を舌で舐め上げ、手首まで到達すると、手首に口付ける。

 「マスヤマ・・・ッ」

恭しくシャツと手首を両手で包み込み、益田はその部分を、こつんと額に当てた。

 「ごめんなさい、直ぐに手当てをしますね」

長い前髪が邪魔をし、その表情を観えなくする。

益田は、救急箱は何処だったかなと言いながら和寅の部屋へと入って行った。


 榎木津は茫然と己の創を眺めている。


 「馬鹿ッ、お前の事だッ」

と呟いて赤くなった顔を見られまいと後ろを向いた。




   日本一馬鹿な下僕に悟られぬように




                                                完












益榎 | コメント(0) | 2018/11/21 13:25

僕の可愛いおじさん 後書き

風邪ひき益田君の話を書いてみたかっただけです。なんのオチも無い話で済みません。
同人活動をするのでブログは暫くお休みかな?
益榎 | コメント(0) | 2018/10/22 11:51

僕の可愛いおじさん 最終話

榎木津が外套を羽織ると益田は布団から慌てて飛び出し榎木津に追い縋る。
 「か、帰っちゃうんですかぁ!」
 「だってお前元気だろう、僕が居る必要無いじゃないか、そうだろう?」
榎木津は半眼になって益田の鼻を抓む。
 「いてて」
 「だから帰る、馬鹿は風邪をひいても馬鹿だという事がわかったしな」
 「酷いなあ、病み上がりなんだからさっきみたいに優しくしてくださいよ」
 「何が優しくダ!優しくしてもらいたい奴がいやらしい事するか!」
フンと扉の前に向き直った。益田はふふっと笑う。
 「今日は有難うございました。僕一人じゃ今頃くたばって居ますよ」
榎木津は後ろを向いたまま
 「当然ダ!僕は神だからな、下僕や吊り目の一人くらいは余裕で救える」
そう言って外に出て扉を閉めた。
帰ってしまった。寂しかったが、布団の温もりを、榎木津がここに居たという証し探りながら布団に潜り込む。
ほんのりと榎木津の香りがする。
 「うふふ、可愛かったなあ、おじさん」
今日一日を反芻しながら枕を抱く。裸にエプロン姿の艶めかしい榎木津の姿が思い起こされて、甘い疼きが何度も襲った。
明日は事務所に行けるだろう。


翌日、午前中の内に病院へ念の為に行って来た。若さのせいもあってか風邪は殆ど治りかけている状態だと診断された。
薔薇十字探偵社への道のりは軽く感じられた。御影石の階段を駆け上がり、益田は元気一杯に扉を開く。
 「おはようございます」
カランとベルが鳴った。---しんっとしている。
 「あれえ?誰も居ないんですかあ」
探偵は兎も角、和寅も居ない。益田がうろうろと事務所内を不思議に思って歩いていると、やがて和寅が寝起きしている和室の襖が開いて和寅が出て来た。
 「あっ、和寅さんおはようございます」
和寅はじろりとその大きな目で益田を睨み付ける。その額には濡れ手拭いが乗せられている。
 「何が、おはようございますだね、益田君、君ねえ、先生が君の所へ行ってから、帰って来た時にお風邪を召していたんだよッ、お陰で私にまで移ってしまってこのざまだよッ!」
と、風邪ひき声のガラガラ声で言われた。
 「えっ、えええっ!」
 「私や、先生の風邪が治るまで君一人で事務所を切り盛りしたまえよ。私は部屋で休むから。---全く君は何かよからぬことを先生にしたんじゃないだろうね」
益田は視線を逸らし
 「はっはははは、やだなあ和寅さん、そんな事」
しました。と心の中で呟いた。和寅にじっとりと睨まれて
 「全く、お止めしておけば良かったよ。先生が君の下宿に行くと言い出した時にね」
え?
 「和寅さん、昨日出掛けていたんじゃないんすか?」
 「何言ってるんだ、昨日は私ァずっとここに居たよ」
じゃあ、元々和寅さんに僕の様子を見に行かせるつもりなど無かったという事か。
 「え、榎木津さんの看病は僕がします」
 「そうしてもらえるとありがたいね、全く君のせいだよ、大体毎日一緒に居るのだから、私にも移るとか考えないかねえ」
和寅はブツブツと文句を言いながら自室へと引っ込んでしまった。その後ろ姿を見ながら
 「そうだ、榎木津さんッ」
慌てて榎木津の自室の自室へと向かうと幾分頬の高揚した榎木津が寝台で眠っていた。

 「馬鹿の風邪を貰ってしまったぞ」
そう言う榎木津と和寅の看病をし乍ら、益田はその日一日結局は事務所に泊まり込む羽目になった。
不味いと言われたお粥の残りを晩御飯替わりに食べ乍ら、益田はそれでも何だか幸せだった。
何だか今回は逆に榎木津を気使う旦那の様な気になってしまっている。(和寅の事は置いといて)

 「榎木津さんが治ったら、又、エプロンを付けてもらって・・・無理か?」
いやらしい事を考えていると和寅の部屋から
 「益田くん、水がないよ、水!」
 「ハイハイ、待ってくださいよ」
と腰を上げた。


                                                                          完
益榎 | コメント(0) | 2018/10/22 11:33

僕の可愛いおじさん 6話

抱き寄せると榎木津は素直にしがみついてくる。
 「あっ・・・フゥ・・・ウン・・・・ッ」
上がる声に艶が混じる。益田は寝間着のズボンを降し、再び榎木津を抱き寄せる。
 「---いいですか?」
 「ん・・・・」
益田は自身を蕾にあてがい、押し入った。
 「アアッ・・・マスヤマッ」
頬を紅色に染め益田にしがみつく。
 「ああ、榎木津さん、可愛いですよ、あんた」
ゆっくり腰を進めながら益田は榎木津の耳元で囁くように言った。
 「んっ・・・馬鹿ッちっとも嬉しくないぞ・・・ンッアッ」
 「はあ・・・榎木津さんッ」
興奮の度合いが強くなり強く突き上げる。
 「アッ!マスヤマ・・・ゆっくり・・・」
 「ご、ごめんなさい」
突き上げる動きを遅くする。腕の中の榎木津は熱に浮かされて瞳は涙目だ。益田は紅色に染まった頬や目元に唇を落とす。それを繰り返していると、榎木津の腕が伸びて、益田の顔を両手で捉えて唇を重ねて来た。
 「ン・・・マスヤマ」
 「は・・・榎木津さん」
口内を貪り、舌先を絡ませる。口づけはしないようにしていたのに。ああ、心地よすぎる。
 「あっはぁ・・・マスヤマッ」
榎木津の内壁がヒクヒクと蠢いた。
 「ああ、榎木津さん・・・榎木津さん・・・」
入口から奥まで一気に貫いた。
 「ああーーっ!」
びくびくと榎木津の身体が震える。エプロン姿が可愛らしく、エロティックで益田は榎木津の足を持ち上げて、自らの肩に掛けた。
 「あっマスヤマ・・・ッアッアン」
打ち付けるように腰を進める。
な、なんか新妻を抱く(おじさんだけど)旦那みたいという妄想が膨らんで堪らない。
 「マスッ・・・ああもう・・・ヤッ」
 「榎木津さん、もう少しッ」
もう少し、このままで居たい。そう思ってはいても限界は来てしまう。榎木津の内部は熱く締め付けて来て益田は一気に登り詰める。
 「アアアッ・・・マスヤマっ」
 「榎木津さんッ・・・ああッ」



 「おい、この変態馬鹿オロカ」
榎木津はエプロンを脱ぎ捨てて、益田に脱がされた服を着ている。益田は布団に横たわりながら、ケケケと笑いながらその様子を眺めていた。
 「だって仕方がないでしょう?奥さんみたいであんた、可愛かったんですよ、僕ァシュチュエーションフェチですし」
へらっと笑って答えると枕が益田の顔面にめり込んだ。
 「誰が奥さんだ、阿呆もここまで来れば重症だ、全く救いようのない阿呆だ!」
とは言え、榎木津も流されて行為に及んでは居たのだ。榎木津は苦々しく思いながら、益田を見て呆れた顔をする。
すっかり元気になっている。
益榎 | コメント(0) | 2018/10/21 13:56

僕の可愛いおじさん 5話

 「わあ、何するんだこの馬鹿オロカ!」
 「心配して下さってるんですよね、僕のためにーーーああ、榎木津さんッ」
布団の上に押し倒して抱き締める。
 「ああッお前!この馬鹿、何発情しているんだっこんな時に!」
嫌でも身体を密着していれば下半身の膨らみはばれてしまう。 
 「あんたが来てから、いや、あんたが来る前からずっとこんなんですよ、全くもう、あんたって人は!」
僕が東京で一人で過ごしている事を気にかけてくれている。ぶっきらぼうな態度と裏腹な言葉しか話さないこの不器用な人が愛おしくて仕方がない。
 「やっばかあー何するんだアアッ」
ほっぺたに吸い付きながらエプロンの下から手を這わし、シャツの釦を外してゆく。唇を重ねるのは風邪を移しそうなので首筋に吸いついた。(既に口移しで唇は重ねあっていたが)
掌を這わせ、胸の突起にたどり着くと指の腹で撫でる。
 「やあ、この変態っ」
エプロンを脱がさずに榎木津の下半身の布を取り、引きずり下ろす。
 「だって可愛いじゃないですか、こんなの襲っちゃいますよ」
 「こっこの強姦魔ー!」
その言葉にぴたりと益田は動きを止める。もじもじしながら正座をして榎木津の反応を窺っている。その様子は悪戯を咎められた小学生のようで益田を幼く見えさせる。
 「何だ、どうした?マスカマ」
 「だって、強姦魔ッて・・・そんな事言われちゃ僕は・・・」
益田は泣きそうな表情をしている。はあーと盛大な溜息を榎木津は吐いた。
 「いいよ」
 「へ?」
 「いいから直ぐに済ませる!わかったな!」
 「ええっ?」
榎木津は栗色のサラサラとした髪を掻き揚げ艶めかしい半裸の身体を晒しながら
 「したいんだったらさっさとする!」
益田は榎木津の顔を覗き込みながら
 「・・・・いいんですか?」
と、問う。目を逸らしながら榎木津は、イイぞ。と答える。
 「榎木津さあん」
甘えるような情けない声を出しながら益田は榎木津に覆い被さる。
 「ああ、馬鹿ッエプロンは脱がせろッ」
エプロンの上から胸の突起に吸い付く。もう片方はエプロンの肩紐をずらして直接指で触れる。
 「アアッマスヤマ・・・」
益田は榎木津の反応にゾクゾクし乍ら、その身体に手を這わせてゆく。時折エプロンごと身体に吸い付き乍ら下肢へと身体をずらした。膝裏に手を掛けるとぐっと持ち上げる。
 「やっ・・・・!」
可愛らしいエプロン姿から覗く白く細い脚が伸びて踵は布団の上を艶めかしく滑る。兆している部分のエプロンの膨らみごと吸い付いた。
 「ああんっ」
 「榎木津さん、可愛いです」
 「馬鹿バカ変態!・・・アッんッ」
足をバタバタさせる榎木津に奥まった部分に指を差し入れる。蕾に指を出し入れする。
益榎 | コメント(0) | 2018/10/20 14:09

僕の可愛いおじさん 4話

 「大家さんにお粥を作ると言ったら、私にはハイカラ過ぎるからと言って呉れたのだ。」
確かに白地だがフリルがついていて、何だか。
 「可愛いです」
思わず益田がそう漏らすと
 「何だ、何か言ったか?」
益田は慌てて首を横に振り
 「いえ、何でもないです。それより何です?そのお粥ってのは榎木津さんが作ったのですか?」
 「うん、そうだ!僕が作った、お勝手を借りて作って来てやったのだ、有り難く食べなさい」
 「ええ?榎木津さんが?」
小鍋に入ったお粥と榎木津の顔を見比べながら、益田は心底驚いた。
 「はっははは・・・明日は天変地異が起こるかもしれないなあ、あんた料理なんかできるんですか?」
 「二十歳の時に家を追い出されてからは学校の寮以外は一人暮らしだ。和寅も僕が探偵を始める前までは実家に居たのだから、大抵の料理は作れるゾ!」
 「へええ、意外ですねえ」
益田は榎木津の顔をまじまじと見ようとしたが余りにも綺麗な顔をしているのでまともに見られなかった。
 「もうイイだろう!早く食べる」
 「は、はいい」
小鍋から木杓子でお粥を茶碗に移し、ふうふうと湯気の立ったお粥を冷まして口に入れる。ほんのりと塩味の優しい味が口内に広がる。
 「どうだ、旨かろう!」
 「は、はい、とても美味しいです!」
それにしても。今日の榎木津は何だか優しい。態度は相変わらず踏ん反り返っている様ないつもの態度だがーーーこれではなんだかーーーお嫁さんみたいだ。
あ、やばい、又、下半身が疼く。それというのも可愛らしいエプロンを榎木津が何のてらいも無く着ているからだ。普通はこんなの着れるかと、思うだろうが、この探偵は奇天烈な服装をたまにしている。とことん変人なのだ。かと言ってそれなりに似合ってしまうところもこの探偵の困った所なのだ。
 「ご、ご馳走様でした」
全てを腹に収めると再び横になった。疼く下半身を榎木津に悟られぬように布団を被る。・・・駄目だ、襲いそう。
 「おい、マスヤマ」
声を掛けられ
 「はいい?」
上ずった声を上げる。
 「お前、去年のお盆も今年の正月も実家に帰って居ないだろう」
思わぬ言葉を掛けられて益田は布団から顔を出す。
 「え、ええ、まあ、忙しかったですし。帰ろうかとは思ったんですがね、僕ァまだまだ助手として半人前ですし、人より働かないと」
 「お前なんか半人前以下だ、いいか、マスヤマ、僕と違ってお前は僕が居なければこのなあんにも無い部屋で野たれ死にして居たかも知れないんだぞ、お前の近くに親御さんが居るなら別だが。」
へっ?
 「風が治ったら実家に帰りなさい。お前なんか居なくてもこっちは全く困らないんだからな、むしろせいせいする。」
 「あ、あんた・・・」
益田は布団を跳ね除け榎木津を引き寄せる。
益榎 | コメント(0) | 2018/10/18 14:05

僕の可愛いおじさん 3話

この探偵はやれ、女学生だの芸妓だの言って周りに女性を侍らせては居るが、その割に情婦が居たためしがない。更に下品な下ネタなどは酷く嫌う。
 「エヅは根が真面目だからさあ」
などと司喜久男は言うが。
 「おい、体温計」
 「あ、はい36度9分・・・・大分良くなりましたよ、お陰様で。」
 「薬が効いたみたいだな、おい、薬のお陰で熱が下がっているだけだからな、もう少し寝て居なさい。」
 「榎木津さん」
 「何だ?」
 「今日は何だか優しいですねぇ」
 「フン、別に優しくはナイ、暇なだけだ。どうせ暇なら風邪でのたうちまわっている馬鹿な下僕の姿を見てやろうと思っただけだ」
ふふふ、と笑って益田は再び横になった。氷枕がちゃぽんと音を立てた。はて、うちにこんなものがあったのかと不思議に思い
 「これ、どうしたんですか?わざわざ持って来たんですか、榎木津さんが?」
榎木津は煙草を吸おうとして灰皿がない事に気が付いて煙草の箱に煙草を戻していた所だった。
 「んー?それはここの大家さんの所から借りて来た。まったく、ここには灰皿も何も無いから仕方が無く借りてきたのだ!この僕がわざわざ下僕の家に来るのだから前もって用意しておくように!わかったか、このカマ下僕!」
 「そりゃあ、あんたが来てくださるのなら灰皿くらいは買って来ますけどもーーー又、来て下さるのですか?そりゃあ嬉しいなあ」
フン、と鼻を鳴らし榎木津は横を向く。
 「別に、又来るとは言って無いぞ!ただ、お前が来て欲しいと僕にひれ伏しお願いするのなら別だが」
 「そりゃあ、ひれ伏して来てくださるのならいくらでもしますがね、あんた気まぐれだから来てくださるか分からないですし」
それには答えず、榎木津が立ち上がり玄関の扉の前に立つ。
 「あの、どこに行くんです?」
 「煙草を吸いに行ってくる」
実に簡略にそう言うとそのまま表へと出て行ってしまった。扉がしまる音を聞きながら益田は
 「気に障る様な事を言ってしまったかなあ」
と溜息を吐きながら独り言を呟いた。長い前髪を掻き上げ、このまま帰ってしまうかも知れないなあと項垂れた。


果たしてーーー。
帰って来た。
 「な、何ですか、その恰好ッ」
榎木津はお盆を両手で抱えて戻って来た。お盆の上には小鍋と茶碗が載っている。
 「ほら、食べなさい」
お盆ごと差し出されて益田は戸惑うーーー何で。
 「何でエプロンつけているんですよお」
益榎 | コメント(0) | 2018/10/16 14:02

僕の可愛いおじさん 2話

え、な、何?
 「もっと欲しいか?」
こくこくと頷くと再び唇を重ね合わせ、水を飲まされる。益田はかあっと顔が熱くなる。
 「何だ、熱が上がったようだな、熱さましの頓服があるぞ、ついでに飲ませてやろう!」
上着のポケットから何やら紙包みを取り出し、口に含むと再度益田に飲ませた。
 「んーんっんっ」
益田は呻く。とんでもないほど下半身は張り詰め、榎木津にばれないようにとばかり願っている。それにしても、あの榎木津が下僕如きに乱暴だが、こうして世話をしてくれている。しかも口移しまでされて益田はパニックを起こしている。榎木津は益田を横たえて上から見下ろしている。
ああ、相変わらず綺麗な顔をしているなと思い乍ら益田は下から見上げていると、段々と眠くなって来た。薬のせいだろう。
 「え、榎木津さ・・・」
益田は精一杯の力を振り絞り榎木津の手を取る。
 「何だ?馬鹿オロカ」
掌をぎゅっと握り
 「僕が寝入るまでこうして居てくれませんか?」
イイぞ。と答える。
 「えのきづさ・・・」
意識が飛んだ。



益田が目を覚ますと、横にビスクドールが居た。人形は仰向けに寝転んで寝息を立てている。
ーーーしっかりと繋がれた手と手。ああ、そのまま寝てしまったんだなあ。
 「うにゃ?起きたのか?」
名残り惜しかったが手を離した。榎木津はむくりと起き出し、益田をじっと見つめて居る。
 「ええ、起きましたよ、お陰様で大分良くなりました。」
 「フン、薬が効いているからだ、どうだ、熱はあるのか、ちゃんと測れ。」
体温計を差し出されて益田は半身を起こして脇の下に挟む。
それにしてもーーー夢じゃなかったんだ、と益田は改めて目の前の麗人を見つめ乍ら思う。
 「お前、こんなもの読むのかいやらしい」
部屋の隅に置いてあるカストリ誌を数冊置いてあるのを見られた。やばい。榎木津が手にしている本の見出しは『若妻初めての性の告白』と書かれている淫らな女性の裸体が表紙だった。
 「そっそれは、カストリ誌にあんたの記事が載っているからですよ、ほら、ここの所に・・・」
確かに榎木津の記事が目当てで買った本だが、男の悲しい性質か・・・いやらしい記事まで読んでしまって居た。榎木津は半眼になり益田の頭の上を眺めていたが
 「ふうん、まあ、いいや」
本の積んである場所にほおり投げる様に置いた。
 「嫌ですか、僕がそんな本読むのは」
 「別に、普通の事だろう、寧ろ興味がない方がおかしいだろう」
 「あんたは読まないじゃァないですか」
 「何で僕がこんな低俗で下らない記事を読まなければいけないのだ、そんなにいやらしくは無いぞ、僕は」
益榎 | コメント(0) | 2018/10/14 14:19

僕の可愛いおじさん 1話

僕はもう、死ぬのか?
見慣れた天井がぐるぐる回るのをぼんやりと眺めながら益田龍一はぼんやりと考えている。
 「ああ、榎木津さん」
こんな時でも益田は榎木津礼二郎の艶めかしい姿を思い出して、寝床で悶絶している。
先程、這うようにして事務所には電話をした。出たのは和寅で、具合が悪いので休みますと伝えた。和寅は
 「おやおや、馬鹿と何とかは風邪をひかないと言うけれど、あれは嘘だねえ」
と笑い乍ら電話を切られた。
益田は煎餅布団に包まり乍ら寝床に横たわっていた。昨日は特別寒かった上に張り込み中に雨に降られたのでびしょ濡れだった。張り込みも最終段階だったので、調査を済ませて依頼人にそのまま会って話をして、依頼自体は済んでいる。そのまま疲れていたので下宿に直帰し、寝間着に着替えて眠ってしまった。
それがいけなかったようだ。朝、起きると激しい頭痛と眩暈に襲われた。頭がぼうっとし、立ち上がるとそのままその場でしゃがみ込んでしまった。やばい。風邪だ。
手拭いを水に浸して額に当てている。それから少し眠ったが、どうにも熱でうなされる。
医者にかかろうにも病院まで歩けそうにない。
動けない・・・ああ、死ぬのかなあ。そんな事を考えていると無性に榎木津に会いたくなった。会って、抱き締めて。
あらら、下半身の一部だけ元気になった。
そういえば何かの本で読んだことがある。命の危機を感じると子孫を残そうとして性欲が高まるとかなんとか。
兎に角そんな事、事実かどうかも解らなかったが、益田は悶々と榎木津のあの時の仕草や艶めかしい姿を思い出しては熱に浮かされた頭で悶々と考え続けている。
せめて、姿だけでも拝みたい。すると、鮮明に榎木津の顔が浮かんできた。
 「うははははっ馬鹿は風邪ひかないと言うが、あれは嘘だな!この駄目下僕!こそこそとごみ箱と仲良く雨の中でデエトするからこうなるのだ!この馬鹿オロカめッ」
 「へ?」
幻覚が喋った・・・?やけに生々しいその幻覚は益田の額の上に氷嚢を乗せ、更に益田の頭を持ち上げて氷枕を乱暴に敷いた。
 「え、榎木津さんーーー何で?」
 「そうだ、僕だ、お前が拝め奉る榎木津礼二郎だ!和寅が用事があると言うのでわざわざ来てやったのだ!いや、暇だったから来てやったのだ、下僕が風邪ひいてひいひい言っている姿を楽しく、いや、憐れんで見てやろうと思ってわざわざ来てやったのだ、どうだ、嬉しかろう!」
どうやら本物らしい。益田は驚いて目を見開いた。起き上がろうにも動けなかった。
 「は、はは・・・。そりゃ有り難いです・・・・」
わざわざ来てもらって嬉しいが、まともに会話も出来ない。益田は口をパクパクさせた。声が出ない。
 「何だ、水か、水が欲しいのか?」
榎木津は立ち上がり卓袱台の上の湯飲みを水場に持っていき、水道の水を湯呑に入れて水を零しながら持って来た。
 「ほれ、しっかり飲め!」
益田を起こすと湯呑を口に押し当てる。
 「むぐぐ」
益田は飲みきれず、零した。
 「仕方がないなあ」
そう言うと榎木津は湯呑をあおって水を口に含むと益田に口づけた。
 「ん?んん?」
 
 
益榎 | コメント(0) | 2018/10/13 14:46

僕のかわいいおじさん 注意書き

・益田君風邪ひきネタ
・着エロ
・短い
よろしければどうぞ
益榎 | コメント(0) | 2018/10/13 13:25

秋彦と礼二郎

akihiko
未分類 | コメント(0) | 2018/09/29 15:51

薔薇十字探偵社

134.jpg
未分類 | コメント(0) | 2018/08/30 14:26

榎木津礼二郎、何故か流血

136.jpg
未分類 | コメント(0) | 2018/08/30 14:22

したい益田君その2





 熱に浮かされたその飴色の瞳を見つめると、その瞳を隠すように震えながら瞼が閉じられた。

ハァ―――

高い鼻梁を通り、唇を滑らせて何度口づけたか分からない紅色の唇に己のそれを重ねる。

ンッ――――

甘い声が漏れてほんの少し、その形の良い唇が開かれた。そこに舌を這わせると、ンッ・・・ンッ・・・・と可愛らしい声が上がる。

榎木津さん

僕は彼の人の名を呼び、それに答えるように唇を開き、内へ這入る事を許された。

湿っていて、柔らかく―――甘い。

夢中で吸う。

アッ・・・・ンッ・・・と高くも低くもない声が耳に響く。舌先は蠢いて相手の舌を絡めて更に声を上げさせる。

マスヤマ―――ッ

僕の名前(間違っているけども)を呼ぶ。僕はもう少しこの綺麗な唇を味わいたかったけれども、唇を滑らせ、首筋を巡り胸元へと吸い付く。

ハッ――――アン

手は胸の突起を二つとも弄る。左右強弱を付けて。

ヤッ・・・マスヤマッ

甘い吐息を吐いているのに嫌とは言わせない。指先でくりくりと弄ってもう片方は口に含むと、つんと尖った。柔らかな桃色が紅く変化を遂げて、背中をぶるりと震わせた。

アッアッ―――やめ・・・・

僕は震える身体を宥める様に背中を摩る。その間にも胸元を弄り続ける。

アアアッ―――もう、アッ

瞳に涙を溜めて僕を見つめてくる。・・・もう、お互い限界。僕も榎木津さんも、そこははち切れそうなほど高ぶっている。榎木津さんの高ぶりを掌に握り込むと、とろりと透明な蜜を流す。

ンン―――ウッ

眉を顰め、艶めかしい表情を見せられると、身体をずらし、舌先で蕾を突く。

ヤ―ッマスヤマッ

悲鳴に近い声を立てて両膝がバタバタと動く。両足を押さえ込むと、今度は髪を引っ張られる。

ヤッマスヤマ―――アア

舌で硬い蕾を解すとゆっくりと開いてゆく。そこは何度かヒクついた。

ウンっ―――アッ―――

指を入れて広げると堪らなくなり、両足を掴んで引き寄せて、益田自身をあてがう。

アアアアーーーマスヤマッ

ああ榎木津さんっ

ゆっくりと身を進める。熱く狭いそこは益田を締め付けてくる。堪らず腰を打ち付けると

アアアッ

と仰け反った。身体を支えて榎木津の唇を己の唇で塞ぐ。

アッアッアッ―――

突き上げる度に艶めかしい声を立てる。---凄く色っぽい。両腕を益田の身体に絡みつかせ、艶を帯びた表情を見せる。瞳は涙で濡れている。

ああ、綺麗です、榎木津さん。



「榎木津さん・・・」

はっと現実世界に戻された。ここは公園の茂みの中だ。・・・そうだった。浮気調査の真っ最中だったのだ。今日、お誘いを幸運にも頂けたものだからつい舞い上がって妄想に耽ってしまっていた。

下半身は情けない事にガチガチになっている。----何やってるんだろ、僕。兎に角仕事だ仕事。

そう思い、張り込みをしている茂みに座り直した。

ぴょーん。

 「ぴょーん?」

目の前の生い茂った草からそれは飛び出した。




 「きゃああああああっ」

益田を見て薔薇十字探偵社の探偵はひっくり返った。

 「あああ、やっぱり」

益田は泣きながら和寅の後ろへ回り込み身を隠す。

 「いやああああ、この竈馬マスカマダ男!」

 「ご、ごめんなさい茂みから竈馬が飛び出して来て・・・」

見ちゃいました。---そう、しっかり見てしまった。

 「出てけ!この竈馬男!」

 「そ、そんなあ、酷いですよウ今日、楽しみに帰って来たんですからね」

 「いやらしいぞ益田君、諦めて帰り給え」

和寅がくくくと楽し気に笑い、口を挟む。

 「み、見えないように後ろから、後ろからならどうでしょう」

 「何をいやらしい事を言って居るのかね」

和寅がぎょっとして益田を見る。

 「いやあああ、このバカオロカカマドウマ男!」

益田が榎木津ににじり寄り背後に廻る。

 「益田君、何をしようとしているのだね、いやらしい」

 「だって楽しみに帰って来たんですよ」

 「いやあああ」

益田が後ろから榎木津を抱き抱えるとふわりと唇を榎木津の頬に押し当てる。

 「え?」

 「やったあ、出来た、ほっぺにチュー!」

やった、やったと喜ぶ益田を尻目に和寅と榎木津は茫然としている。

 「え?それだけかね、益田君」

 「何がですか?だからほっぺにチューがしたいと言っているじゃないですか」

本当はいやらしい想像をしていた事は内緒にしておく。今はこれで十分なのだ。

やった、やったと喜ぶ益田を見て榎木津は溜息を吐く。竈馬の記憶は消えて、先程の事ばかり頭の上に浮かんでいる愚かな下僕を見て呆れ乍らも。見えぬ所で微笑んだ。



益田龍一が榎木津の自室へ入ることが許されたのはその次の日からだった。



                                     




























































































益榎 | コメント(0) | 2018/08/28 11:09

したい益田君その1


「益田君、もうすぐ依頼人の方が来られる頃だから先生を起こしにいっちゃあくれないか」

益田は細い眉毛を露骨に顰め乍ら

 「ええー、僕は嫌ですよぉ、あんな寝起きの悪いおじさん起こすのは。和寅さんの方が慣れているでしょうに」

ほうっと探偵の秘書件お守役の和寅青年はその大きな目を半眼にしながら呆れ顔で言う

 「最近先生のご寝所に入り浸っているのはどこのどいつだろうねえ」

 「・・・起こしに行ってきます」

そそくさと益田は榎木津の私室へと入っていった。

 「失礼しますよ」

布団の上掛けが乱れて長い脚が投げ出されている。相変わらず寝汚い姿だなと思いながらもその肌の白さと明るい場所で見るしなやかできめの細かい皮膚に目が行ってごくりと唾を飲み込んだ。

 カーテンの隙間から照らし出されたその容貌はまるで基督教の宗教画の天使に似ている。栗色の柔らかな髪。大きな飴色の瞳は今は閉じられて長い睫の下に隠されている。柔らかい桃色の唇・・・・。

思わず触れたくなったが、ゴホン、と一つ咳をつき気を取り直して榎木津の寝台に近付いて比較的大きな声で

 「榎木津さん、起きて下さいよ」

 「んんーっ」

探偵は僅かに身じろいだが起きる気配はない。益田は身体を揺さぶったが、うにゃあとへんな声を上げるばかりでちっとも起きる気配がない。・・・やれやれ。

 「榎木津さん」

耳元で声を掛ける。

 「起きないと・・・しますよ」

探偵閣下の目がパチリと開いた。


物凄い音がしたかと思うと、益田が榎木津の部屋から転がり出て来た。ひいひい言っている。

 「待てこの、変態変質狂男!この助平!神自ら成敗してやるゾ!」

続いて叫びながら下履き一枚の姿で榎木津が益田を追いかけながらそこら辺にある物を益田に投げつけている。呆れて見て居た和寅の真後ろに廻り込んで益田は和寅を盾にする。

相変わらず卑怯だ。机の上にある探偵と書かれた三角錐が投げられて和寅はひょいっと避けて、見事に尖った部分が益田の頭に突き刺さる様に当たった。益田はひっくり返った虫のようにバタバタとしている。

 「わはは、虫だ、虫がこんなところに二匹も居るぞ、油虫に助平虫だな、このカマオロカ助平虫!」

 「助平虫なんたァ虫居ないですよ」

益田は床から起き上がって三角錐をぶつけられた箇所を痛そうに撫でながら憮然としている。

 「なんだ、開き直るのか、この変態色情狂!お前なんかこうだ!」

華奢な身体に似合わず探偵はソファーを軽々と持ち上げ益田にぶつけようとする。

わあ、と益田は床に座り込んでごめんなさいと繰り返し言っている。和寅はこれには流石に驚いて慌てて榎木津を取り押さえる。

 「まあまあ、先生、見れば下履き一枚じゃないですか、依頼人もやって来ることですしここは押さえてお着替えをして下さいよ」

そう言うと探偵閣下は、フンッと鼻を鳴らしソファーを下に降ろした。

 「益田君も何だね、そんなにいやらしい事を言ったのかね、まったく君の調子の良さには呆れるよ」

ぶつくさ言いながら探偵が散らかした物を元の位置に戻している。

益田は再び開き直る様に憮然とした態度でソファーに座り込んで横を向いた。反抗的である。

その態度に腹を立てた榎木津を宥めながら和寅は早く服を着る様に促した。

 「だって、したいじゃアないですか、最近ずっとしていないんですよ」

呆気にとられた榎木津と和寅は二人とも口をあんぐりと開けた。

 「な、何を言っとるのかね益田君」

和寅が動揺しながらも聞いた。・・・何という破廉恥な事を言うのだ。

 「したいですよ。」

横を向き少し顔を赤らめながら益田は言った。

 「ほっぺにチュウ」

 「はあ?」

間の抜けた声が和寅から発せられた。榎木津に至っては探偵の椅子に座り込んだ。深い溜息をついた。・・・なんだ、ほっぺにチュウか・・・・。何だ、そんなことか。

 「助平で悪かったですね、僕ァおじさんと違って若いんですよ・・・」

うじうじと益田が呟いている。探偵は立ち上がり、床を素足でぺたぺたと足音を立てて益田に近付くと益田の襟首を掴み、そのまま自室へと引き摺って行く。

わああ、暴力反対ーと叫びながら榎木津に引き摺られて自室へと連れられてゆく益田を見ながら和寅は溜息を吐く。

榎木津は乱暴に益田を寝台の上に投げ飛ばす。寝台がぎしりっと悲鳴を上げる。

 「わあ、こんなところで蛸殴りですか!やめてえ!」

情けない声を上げている益田に伸し掛かり、なおもひいひい言って居る益田に一瞥をくれてから、両腕を掴み上げて寝台に押し付けると、榎木津は乱暴に益田の唇を己の唇で塞ぐ。

 「う、うううん?」

益田は最初、何をされているのか見当が付かず驚いた表情をしていたが、やがて己の状況を理解し、沸々と沸き起こる感情に支配される。・・・くちづけをされている。

凄く、幸せ。

やがて、唇が離れていく。ぼんやりとした頭のまま。今度は益田の耳元で榎木津が囁く。

 「今夜、来なさい」

 「へっ?」

 「だからっ、夜・・・・」

 「えええええ」

 「五月蠅いぞ」

えええ、ほっぺにチュウだけで良かったのに、えええええ?

滅茶苦茶幸せなんですけど。おや、あんた顔が赤いですよ。そう言う僕もきっと真っ赤なんでしょうが。

 「着替えるから出てけ!この下僕!」


部屋から追い出されて益田はぼんやりとしたまま、湧き上がる幸福感に包まれていた。

 「やれやれ、情けない顔をして。」

和寅が呆れた顔をしながら台所へと向かう。

きっと、とてつもなくにやけた顔をしているのだろう。僕は。


探偵の私室からうにゃあという声が聞こえた。服を選んで悩んでいるのか、それとも・・・・。


あの馬鹿オロカめ。と聞こえた気がした。

 













 




























益榎 | コメント(0) | 2018/08/28 10:57

マシュマロ 後書き

益田君女装ネタが書きたくて書いた駄文です。如何でしょうか?
ただ、女装してえちして終わった雑な小説で済みませんm(__)m
書いてるほうは楽しかったです。
滅茶苦茶どマイナーカプですが、ブクマ付けて頂いたり、拍手など頂きましてありがとうございます!
ネタがある限り頑張りたいと思います。宜しくお願い致します。
益榎 | コメント(0) | 2018/08/25 15:40

マシュマロ 15話

柔らかな髪を指で梳く様にすると、榎木津は瞼を持ち上げた。
目の前に益田が、少し照れたような表情で榎木津を見つめて居る。
ーーーああ、僕は意識を飛ばしていたのか・・・そう思うと腹が立って目の前の下僕のうっとおしい前髪を引っ張ってやる。
 「いててっ」
身体が、怠い。この馬鹿のせいだ。
 「フン」と枕に顔を伏せる。
 「あらら、お顔、見せて下さいよう」
 「五月蠅いぞ、このカマ!」
伏せた顔の代わりに益田は榎木津の首筋に唇を落とす。白く細い項に何度も口づける。
 「しつこいッ」
顔を上げるとそこを狙って顔中に唇を落とす。「ううっ」と抗議の唸り声を上げる。
十歳以上も年の離れた若者にあられもない姿を晒し、縋り付いて醜態を見せてしまった。
益田は赤くなった榎木津の顔を見てケケケと八重歯を見せ乍ら笑う。榎木津はむっとし乍ら起き上がろうとするが、肌を晒すのが嫌なのか躊躇った。益田は裸の榎木津を気遣って床に散乱している衣服の中からローブを拾い、榎木津に纏わせる。
「これでいいですか」
益田はシャツとズボン姿だ。
 「うん・・・」
 「---風呂入りますか?」
 「いい、明日にするーーーもう、寝るゾ」
そう言って再び寝具に丸まった。益田は寝台の上に座ったままだ。
 「・・・おい、お前も寝ろ!」
 「は、はいーーーあの」
 「何だ?」
 「ご一緒にーーー寝ても?」
 「うーーー」
少し言葉に詰まり、寝具を捲り、イイぞと答えると益田は躾けられた犬が、ヨシ、と言われた様な様子で寝具に潜り込む。そのままちゅっと唇を重ねて来る。
 「ンンッーーこの馬鹿ッ」
悪態を吐きながらも受け入れる。
ーーーこいつの唇や舌は何だか甘い。マシュマロのようにふわふわと、溶けて身体中に広がる様な感覚がする。身体を引き寄せられ、おでこ同士をくっつけると、その心地よさに榎木津は目を瞑る。
 「好きですよ、榎木津さん」
 「ん・・・・。」
ふわふわと包み込まれているようで安心する。
寝入ってしまった榎木津の髪を、その眠りを妨げないように指で梳く。益田は、ふふっと笑った。
 「ああ、幸せだなあ」
と呟きながら、飽きずに探偵の顔を見続けた。


 「で、ここで、あのイカレたオジさんが、にゃんこ、にゃんこだ、マスヤマ捕まえろッっつって言ったんですねえ」
探偵の物真似をし乍ら益田は鞭を片手に、講釈師さながら先日起きた、探偵が呑み屋に行く途中で猫を見つけて追いかける話を和寅相手にしている。
本日は四時から依頼人が来るので、それまでは暇だった。榎木津は中野の中禅寺の家に遊びに行って留守にしている。
 「何だね、益田君、今日はやけに元気だねえーーー先生が本屋の先生の所へ出掛けて行って、てっきりしょげているかと思いきや随分と元気だなあ」
 「やだなあ、僕だって分別はつけますよ。あの人にいちいち妬いていては、身が持たんですし」
榎木津との関係を隠そうともしない益田に和寅はうんざりとした表情をする。
 「そんなに浮かれていると、足元が覚束なくなるよ。心配だなあ、君は迂闊な事をするからなあ、どうなっても知らないよ。」


中野・・・古本屋件神社の神主、中禅寺秋彦の家で探偵はすやすやと眠っている。
家の主は相変わらず世界の終わりを幾度も経験したかの如く険しい表情をしている。この家で探偵が居眠りをしているのはいつもの事なので、中禅寺は探偵に構わず本を読んでいる。
 「ごめん下さい」
表の玄関で、いささか軽薄な調子の声がする。生憎妻の千鶴子は出掛けてしまっているので
 「這入り給たまえ」
と、良く通る声で返事をする。
 「お邪魔します」
鳥口守彦が部屋に這入って来た。
 「どうも、師匠、今日はちょっと大将についてーーーうへえ!大将居たんですかッ!?」
その声に探偵はむっくりと起き上がる。
 「んー何だ、トリちゃんじゃないか、僕は眠いんだから勝手にそこの馬鹿本屋と話をしていなさい、わかったね!」
鳥口は榎木津の姿を見ると顔を赤くする。
 「い、いや、大将、今日はですね、その師匠にお願いして大将を是非ともうちの社でモデルをして頂きたいとーーーそれで、師匠に大将を説得してもらってですねーーーその、モデルとしてうちの会社に専属で来て頂きたいと思いましてーーー」
中禅寺は片眉を吊り上げて鳥口に一瞥をくれる。
 「この男に説得など出来る訳がないだろう、鳥口君。それに僕はそんな役は御免だよ。」
んーー?と榎木津は何で僕がモデルなんかと呟くと、鳥口の姿をじっと見て、頭の上に視線をずらし、半眼になって見つめる。見る見るうちに榎木津は顔が赤くなる。
 「な、何で!何で、トリちゃんが知って居るのだッ!」
物凄い勢いで起き上がると津軽塗りの膳の上にダンッと凄い音を立てて片足を乗せる。
 「シャシンだなッ!---あっあのーーー」
あの馬鹿ーーーーッ!
と大きな声で叫ぶと縁側から飛び出して行ってしまった。
 「うへえ、益田君、バレちゃったよ!」
その後の修羅場を想像して鳥口は身震いをする。中禅寺は気にする訳でもなく本を読み続けていた。


益田は密かにあの時の夜の写真を取り出して、にんまりと笑った。
その直ぐ後に起こる、惨劇を知らずにーーー。


                                                                               完
益榎 | コメント(0) | 2018/08/25 14:10

マシュマロ 14話

率直に問われて榎木津は瞳を大きく見開いた。やがて軽く目を細め
 「良いよ・・・」
小さな声で答える。再び唇を合わせて、それから益田は榎木津を抱え上げた。
 「わ、馬鹿馬鹿ッ女の子じゃないんだぞ!」
 「そんな事ァ解ってますよ」
そう言い乍らそのまま益田は榎木津を抱え上げたまま榎木津の部屋の扉を開ける。身長が高い割りには榎木津は軽い。華奢な身体つきのせいか。
榎木津の身体を寝台へと横たえると、益田は榎木津の額に唇を押し当てる。
 「いいーーーですか?」
不安そうな益田の声と表情に榎木津はふっ、と笑う。
 「いいよ、マスヤマ」
囁く様に言った。 
 「榎木津さん・・・」
益田は覆い被さり、榎木津の着衣を脱がせてゆく。現れた肌に吸い付くと「ああっ」と声を漏らす。
まだ不安そうな益田に榎木津は益田の頬に手を伸ばし少し恥ずかしそうに
 「おいで、マスヤマ・・・」
耳元で言う。
 「ああ、榎木津さん」
胸の突起に吸い付いて、もう片方は抓み上げる。
 「ン・・・ふっ・・・アン、マスヤマ、痛いッ」
 「あ・・・ごめんなさい」
夢中になって理性が飛んでいた。優しく胸元を弄り乍ら舌先で転がす。榎木津は益田の長い前髪を手で梳いている。胸への戯れを続け乍ら掌を這わすと「ンッ」と甘い声を立てる。益田は付けていたネクタイを外すと、榎木津の足をやんわりと広げさせて微かに兆している花芯へと指を絡める。
 「アッーーーンーーーマスヤマーーー」
硬く芯を持つ。手の中で育てる様に弄ると蜜を垂らす。身体をずらし、益田は口に含む。
 「あっ・・・ンアア」
益田の前髪を咎める様に引っ張る。余り力が入らないようで痛くは無かったが、そんな仕草も悩ましく、目を瞑って長い睫毛を震わせている姿に酷く興奮をし、益田は奥まった場所へと手を這わす。
 「あっやあッ」
窄まった部分の周りに指を這わし、蕾を指で突つくとひくりと蠢いた。
ゆっくりと指を埋没させると、花芯を口内に含むと唇で括れた部分を締め付けた。
 「ひゃーーーあああッ」
指を増やし奥まで探る様に指の腹で内部を弄る。
 「ますーーーやまッ」
榎木津の身体が震え出す。増やした指先で奥まで突くと榎木津は仰け反った。
 「アアッ!」
もう、限界。益田はベルトを外し、ズボンをずらす。
 「榎木津さん」
 「ンッーーーああーーー」
組み敷いて、閉じかけた足を掴んで蕾に押し当てた。
 「---這入って良いですか?」
 「やっ・・・馬鹿、聞くな・・・」
グッと先端を押し入れる。
 「アアアッ」「ンッ」
背を反らし、榎木津は太い眉を苦痛に顰めた。顔を優しく掌で包み込み益田はそっと口づける。
 「はあ・・・ごめんなさい、大丈夫ですか?」
ゆっくりと腰を進め乍ら益田は榎木津を気遣った。
 「ンッーーー」
返事とも呻きともつかぬ声が返って来る。榎木津の内部は柔らかく、それでいて益田を締め付けて来る。耐え切れず
 「ごっごめんなさいーー動きます」
突き上げる。
 「アッ――アッーーーくっ」
 「痛いですか?」
 「い、いたくなーーーアアッ」
栗色の柔らかい髪を乱しながら榎木津は身の内から沸き起こる快楽の波に流される。
奥深く迄突き上げられ、意識が混濁する。
 「アアッマスヤマッ」
益田の身体にしがみ付く。益田は榎木津に唇を重ね乍ら少し余裕が出来て来て、ゆっくりと内壁を擦る様に動く。
 「アッ・・・ウンッはあッーーーアッ」
榎木津はゾクゾクする様な艶めいた表情で甘い声を立てている。
 「馬鹿・・・又、何を泣いているんだ・・・」
 「だって、嬉しいですよう・・・あんたとこうして居るなんて」
少し強めに突き上げると「アアッ」と仰け反った。とてつもなく色っぽい。いつまでもこうして居たかったが榎木津の内壁はひくついて益田は呻く。
 「ま、ます・・・アアーーー駄目ッーー僕・・・もう」
ぎゅっと縋る様に抱き付く仕草に夢中になって突き上げ続ける。
 「あっああッーーやあーーもっーーアアッ」
 「榎木津さん・・・ッああ、あんた可愛いッ」
一度引き抜いて、再び最奥まで貫いた。
 「あああッーーーマスヤマッ」
 「榎木津さんッ」
二人で強い波に攫われてーーー飲み込まれてしまった。
益榎 | コメント(0) | 2018/08/25 11:40

マシュマロ 13話

 「そ、そんな場所もうこりごりですよお」
金ちゃんは笑い乍ら
 「冗談よう、それより上手くいってるの?あんた達」
金ちゃんの店のカウンターで、飲み物を出して貰い、それを一口飲みながら益田は
 「うーん、どうでしょうかねえ、上手くいっている様ないってないような・・・」
曖昧な返事を返す。あの日から三日しか経っていない。探偵は益田と目を合わせると逸らす様な態度を取っている。
 「照れ屋なんでしょうよ、きっと。素直じゃないのね、益田ちゃんみたいに真面目に愛情を伝えると恥ずかしくなっちゃうのよ、そこの所分かってあげないとね」
金ちゃんがそう言うとママも
 「焦らず頑張りなさいよ」
と、答える。照れ屋だと中禅寺から聞いていた。それに子供の様な人だとは重々承知している。僕がもっとあの人を分かってあげないといけないのだ。---けれど僕はきっと青いのだろう。直ぐに探偵の顔色を窺い、落ち込んでしまう。
 「もっと自信を持ちなさいよ、あんたが他の男と宜しくやって居る時探偵ちゃんは凄く落ち着きがなかったわよ、ハッテン場に連れ込まれた時なんか慌てていたわ」
 「榎木津さんが?」
 「大変だったわよう、お店に殴り込みに行く気満々だったのを抑えるのに一苦労よ」
はあっと盛大に益田は溜息を吐いた。
 「なあに?辛気臭いわね、嬉しくないの?」
 「そりゃあ、嬉しいですよーーーけどもオカマ掘られそうになった所を助けられるのって恥ずかしくないですか?僕がうら若き女性なら兎も角、男ですよ、男。逆の立場なら榎木津さんを助けにーーーいや、あの人なら一人で大丈夫か・・・」
 「あんたは見捨てて逃げるんじゃないの?」
金ちゃんに意地悪く言われる。
 「う・・・いや、女性と子供なら助けますよーーー榎木津さんなら助ける前に相手をのしちゃっているでしょ?」
 「良いじゃないの、肉体的な強さで自分の価値を測ってんじゃないわよ、情けないわねーーー愛しちゃってんだからいいじゃない。あんたは誰よりも探偵ちゃんの事を愛しているんでしょ?」
ママがそう言うと益田は顔を赤くして、長い前髪を搔き上げた。
 「ええーー僕が誰よりもあの人の事を愛していますよ、それだけは自信があります」
 「それなら良いじゃないの、ぐちぐち言うんじゃないわよ、好きだ、愛してる、とうっとおしがられるくらい言っておやりなさい」
うっとおしがられるほどか。


結局、金ちゃんとママに飲まされて事務所に帰って来たのは十時頃だった。探偵は益田を見るなり
 「遅かったな、又オカマ芸でも披露してきたか、カマオロカスペシャル!」
益田は、只今帰りました。と挨拶をして鞄をソファーに置いた。榎木津はワインを片手に又、マシュマロを食べている。
 「二丁目が気に入ったんならあそこで働くといい、偶には飲みに行ってやるぞ、カマ」
益田はゆっくりと榎木津に近付いた。
後先など考えて居ない。自分の気持ちを素直に伝える事だ。
 「な、何だ、様子がおかしいぞ、お前」
益田は無言で探偵に近付く。何だか怖いと榎木津は思ったが直ぐにその考えを打ち消した。怖い筈なんてない!この僕が。
 「和寅さんは如何したのです?姿が見えないですが」
漸く口を聞いたかと思うとなんてない事を聞いて来る。
 「実家に行って居るぞホージとかヨージとかの手伝いをするとか言って居たなあーーまあ、明日には帰って来るだろう」
 「そう、それは良かったです」
何が良いのか聞こうとして、ぎょっとした。いつもへらへらとしている幇間男が真面目な顔をして目前に立っている。いつになく精悍な顔をしている。
榎木津は後退る。益田は榎木津が手に持っているグラスを取りあげ、机の上に置いた。
 「おい、何をするッマスヤマーーー」
 「榎木津さん、好きです」
そう言って、柔らかい笑みを見せる。
 「愛しています」
ーーー戸惑う。この若者が随分と大人に見える。
榎木津の手を取り、手の甲に恭しく口づける。
 「マスヤマーーー」
 「唇に触れても良いですか?」
戸惑いながらも頷いた。真剣な益田に対して何故か拒む事が出来ない。
身体を引き寄せられ、そのまま唇を重ねる。
 「ンッーーー」
ぞくっと身体に熱い感覚が走り抜ける。---甘いマシュマロの味がする。ーーー益田の口内から。こいつはマシュマロを食べて居ないのに何故かそんな味がする。---ああ、僕のが移ったのか。
 「ンっふっ―――ッ」
舌を絡ませ合いながら、榎木津は何も考えられなくなる。いや、こいつの事ばかりーーー。
 「ハア、榎木津さん」
唾液が混ざり合い、榎木津の顎を伝ってゆくのを益田の唇が追い、舌で舐め上げる。
 「ああ・・・マスヤマ」
身体が熱くなる。恥ずかしい程に身を震わせながら、益田の唇が喉元を滑ってゆくのを熱に浮かされた瞳で見つめる。唇が名残り惜しそうに離れ、榎木津の耳へと唇を押し当てて、耳を食む。
 「アッーーー」
柔らかな耳朶を唇で挟み、舌でちろちろと舐める。逃れようとする榎木津の身体をやんわりと包み込む様に抱く。
 「ハアーーー」
耳を舐め、首筋に添って唇を移動する。片腕で榎木津の身体を抱き、もう片方の手は榎木津の身体の線を辿る様に這わす。
 「ンッーーーマスヤマッ」
益田は榎木津の瞳を見つめて言った。
 「榎木津さんーーーお部屋に行っても良いですか?」
益榎 | コメント(0) | 2018/08/24 11:28

マシュマロ 12話

益田は目を閉じる。背中に榎木津の温もりを感じ乍ら
 「僕は幸せです」
そう、呟いた。


開口一番、鳥口守彦は
 「益田君、この物凄い美人誰?」
と聞かれた。寄り目がちな目が更に寄り目になって益田の顔を覗き込んだ。喫茶店の机から身を乗り出して聞いて来る。
 「そりゃあ、僕の女装は完璧だったけど、凄い美人では無いよ」
 「違う、違う、そりゃあ益田君の女装姿は爆笑ものだったけどーーーこれだよ、これ!」
現像に出していた写真の袋から一枚の写真を取り出した。
 「あっ!それは・・・」
 「誰なんだ、これ、雑誌に載せたらすごい反響が来るよ」
あの夜、つい出来心で榎木津が放心している時にそっと撮った写真だ。暗くてどうせ写らないだろうと高をくくっていたのだ。
悩ましい表情の長い髪をした麗人が写っていた。
 「えっ、と、それは二丁目でーーー偶々撮れたというか・・・」
 「もしかしてーーー大将?」
 「わああああッ」
 「うへえ、やっぱり!」
益田は店内に居る客がこちらを皆見る様な情けない声を出して慌てている。
 「こんな美人、大将以外、思いつかないよ」
写真をまじまじと見乍ら鳥口はうーんと唸った。
 「載せたら部数が上がるだろうなあ」
 「駄目です!そんな事したら僕達、あの破壊神に会社ごと潰されちゃうよ」
 「だろうね」
はあっと溜息を吐いて鳥口は椅子に凭れ掛かった。
 「鳥口君、この事はどうか内密に」
 「解ってるってーーああ、でも勿体ないなあ」
個人的に大将にモデルでも頼もうかなあ。などと呟いている。
鳥口から写真をひったくる様に奪って鞄の中に仕舞う。鳥口に礼を言って会計を済ませて早々と喫茶店を後にした。


 「ぷっくくくくっ」
和寅は益田の女装姿の写真を見て、笑い転げている。
 「何だね、益田君、君はやはり日頃からカマ呼ばわりされているからそういった素質があったのだね」
ぴらりと益田がお尻を触られている写真を取り出して、実に意地悪く笑って居る。益田は細い眉を顰めて苦々しい表情を浮かべて書類の整理をしている。
 「直ぐに依頼人が来られるので早くその写真返して下さいよ」
 「分かったよ、それ、依頼人に見せるのだろう?」
うくくと笑って、お勝手に引っ込んでしまった。
カウベルが鳴り、来客を告げる。今田夫人だ。
一通りの説明を益田は夫人に伝えると夫人は震えながら
 「主人がハッテン場に出入りしていたというのは本当ですか?」
益田は写真を取り出し
 「ええーーー残念ですが。それは僕が身を持って証明致します」
丁度、茶を持って来た和寅がぷっ、と噴き出した。益田は和寅を睨み付ける。
 「調査の為に身を削って下さったのですね、有難うございました。改めてお礼を申し上げます」
夫人はそう言って項垂れた。
益田が受け取りを辞退したにも関わらず破格の探偵料を置いて、今田夫人は事務所を去って行ってしまった。
 「ありゃ離婚だろうね、きっと」
和寅は下世話な話をしてくる。
 「それにしても、益田君、写真を依頼人に全て渡してしまって良かったのかね?記念に一枚持っていても良かったのじゃないかね、カマ記念に」
そう言って、いひひと笑う。
 「やめて下さいよッ、もううんざりですよ僕はこれから二丁目に行って金ちゃんと「桃」のママにお礼に行かないと行けないんですよ」
 「そうして帰って来なければいい!お前は金ちゃんの所で弟子入りをしてカマとして生活するのだ、うはははは。」
奥の部屋から昼寝をしていた探偵が起きてきて益田にそう言う。
 「酷いですよウ僕は今回身を呈してまで職務を遂行したんですからね」
 「フン、自分で自分の身くらい守らなければ意味ないじゃないか、無能だ、無能、この無能下僕めーーーんっ?」
榎木津は目を半眼にして益田の頭の上を見た。
不味い、あの写真の事がばれたかも?と身を竦めたが、暫く眺めると、ふいっと顔を逸らす。
あら、写真よりも、もっと艶めかしい行為が観えちゃいましたか。
 「フン、いやらしい。」
と呟いて
 「和寅、珈琲!」
大きな探偵の机に足を乗せて和寅に命令をする。ハイハイと和寅はお勝手に消える。
 「では、行ってきます」
 「帰って来なくても良いぞ、この助平」
 「榎木津さんは可愛いなあ、おじさんの癖に」
何か飛んでくる前に急いで事務所を飛び出した。


 「いらないわよ」
金ちゃんと「桃」のママは謝礼を受け取らなかった。
 「困ります、依頼人の方からは随分と頂いてますから、それにお世話になったのでこれくらいは!」
 「じゃあ、そのお金で又、飲みに来てよ」
ママが言う。
 「そういう趣味が無ければ入れないんじゃ?」
 「あら、龍子ちゃんなら良いわよ、一度カマになっているじゃない。それにこれから先は二丁目はもっと栄えるわよ。カマもゲイもおなべもノーマルも何でも来いの時代が来るわよ。何年かかるか分からないし世間の風あたりは強いでしょうけどね。」
 「うちのバーはカマ以外でも歓迎するわよ」
と金ちゃんが言った。
 「探偵ちゃんも連れてきて二人でハッテン場で楽しみなさいよぅ」
益榎 | コメント(0) | 2018/08/23 11:55

マシュマロ 11話

 「いてっ」
益田は涙目になる。
 「この変態め」
 「そりゃ、こんな事して変態でしょうがね、僕はあんたが好きだからこんな事するだけであって、けして疚しい気持ちは無いですよ」
益田はそう言ってちゅっと榎木津の手の甲に唇を押し当てた。
 「あんたは嫌ですか?」
榎木津は横を向く、顔が夜目にも赤く染まっている。
 「嫌じゃない・・・・」
だが、恥ずかしいーーーと言葉に出さずに心の中で呟く。益田は何も言わない榎木津に苦笑して、呟くように言う。
 「そうですか」
 「おい、うっとおしいから外すぞ、とんでもない変態じゃないかッ!」
鬘を外そうとするのを益田は止める。
 「おっと、もう少し・・・どうせ僕は化粧しているしお互い変態でいいじゃァないですか。」
折角の機会なので、もう少し麗しいその姿を見て居たい。
 「何言ってんだお前」
 「おっと」
身体を反らせた益田につられて榎木津は上体を起こした。
 「アンッ」
とんでもない声が上がった。まだ繋がった状態で益田の腰の上に乗り上がってしまったのだ。
 「ああ、榎木津さん」
 「ばっ馬鹿!なに大きくしてんだっアアッ」
益田は思わず下から突き上げた。
 「あっやアッアアッ」
支那服を捲り、胸の突起に触れると指先で転がす。もう片方は口に含んだ。
 「やーーーマスヤマ」
強く抓み上げると突き飛ばされた。
 「いてーー酷いなぁもう」
畳の上に益田は転がる。益田を見下す様に榎木津は腕を組む。
 「フン、いい眺めだ、いつも僕を組み敷いている報いだ!」
こうしてやろう。と言い益田の上で腰を動かす。
 「あっ、榎木津さんーーーそんな」
 「アッーーーどうだッ」
榎木津は益田の上に乗り責め立てるかのように腰を動かす。
 「あっ・・・うん・・・あっ・・・ふっーーーウッくっーーー」
 「アアッ榎木津さん、とてもイイですッ!」
下から益田が突き上げる。
 「アッーーーお前は・・・動かなくて良いからっ・・・」
 「だって榎木津さんこんなのっ」
ヨ過ぎる!何、このいやらしい、天国の様な感覚。上に乗っている艶めかしい天使は乱れて常に無くこういった行為にノッテ居る。
 「アーーーンッ」
榎木津が腰を揺らすと益田は
 「はあっ榎木津さんっ」
背を反らす。その動きで奥深く突き上げてしまった。
 「あっ馬鹿ーーーやっあんっうっ動くなッ」
 「無理、無理ですッてこんなの」
滅茶苦茶下から突き上げた。
 「はぅ・・・あああッマスヤマ」
髪を振り乱して益田の上の榎木津は乱れた。
 「ああ、綺麗です榎木津さんッ」
 「ンッーーーマスーーもうッ」
榎木津は益田に上体を預け身体を震わせた。身体を抱き寄せ乍ら益田は
 「榎木津さんーーー一緒に」
両手をお互いに繋ぎ、強く突き上げた。
 「あっああああッ!」
 「榎木津さーーーッ」
二人で極みに登りつめた。


榎木津の頬に濡れた涙を舌で舐め取り、益田は金ちゃんの店に置いていた、己の鞄の中から手拭いを取り出してきて後始末をした。
 「ンンッーーー」
 「ごめんなさい、少し我慢して下さいね」
蕾に指を差し込み、濡れた内部を綺麗にする。脱がせた下着やズボンを履かせる。
榎木津の顔を情けない顔をし乍ら覗き込む。
 「嫌でした?」
榎木津は顔を逸らす。
 「お前と抱き合うのは嫌では無いーーーでも、あまりこういった姿を見せるのは嫌だ。お前が調子に乗るからな」
 「つまりーーー恥ずかしい、と?」
 「フン。寝るぞ、僕は眠い」
益田は化粧を落とし、元々着ていた服に着替えて、榎木津の直ぐ横に横たわる。榎木津も鬘を外した。散々恥ずかしい行為をしていてこんな事を思うのは、我ながらどうかと思うが、もう少し榎木津の気持ちを考えて良かったと思う。自分の思いを押し付けてばかりで戸惑っていたのかも知れない。
僕が襲われそうになった時、わざわざ鬘を被ってまで助けてくれた。---更に積極的に榎木津の方から行為に応じてくれた。
ーーー充分だ。むしろ過ぎるくらい。
横を向いて寝ているその髪に口づけをして益田は
 「榎木津さん、僕は心底あんたに惚れています」
榎木津は寝入ってしまったのか、答えない。
益榎 | コメント(0) | 2018/08/22 11:36

マシュマロ 10話

ほっそりとした喉に続く肩を甘噛み、支那服をたくし上げ、夜目にも淡い色を掃いている胸の突起を口に含んだ。
 「はっ…あ・・・」
榎木津は目を瞑り長い睫毛を震わせた。綺麗だと、心底益田はそう思う。榎木津の容姿に惹かれて愛してしまった訳では無いが、こうしてみると男も女も皆、この人の美貌に惹かれるのが良く解る。
胸の突起の片方を舌先で転がして、もう片方は指で抓むと背を逸らせる。
 「ン…マスヤマ・・・」
益田の髪を引っ張る。纏められていた髪留めが取れ、髪飾りがポトリと榎木津の胸に落ちる。薔薇の花飾りのそれは榎木津の白い肌に良く映える。
 「やっ・・・そこばかりーーーんっしつこいッ」
胸への戯れを続けていると、身体を捩じらせて抗議の声を上げる。花飾りが肌から滑り落ちた。益田は舌先を滑らせて、下腹部へと到達すると、榎木津のズボンに手を掛けて下着ごとずり落とした。
 「アーーー」
羞恥を含んだ声が上がる。一気に引き下ろして両足から脱がすと、益田も服を脱ぎ始める。時折榎木津の晒された脛や足先を唇や舌を這わせ乍ら服を全て脱ぎ棄てた。
足の甲に舌を這わせるとビクリと長く白い足が震えた。足の甲から腿にかけて舌先を滑らせると
 「あっ・・・マスヤマ・・・もうッ」
榎木津が焦れて足をばたつかせる。
 「榎木津さん」
宥める様に太腿を撫で乍ら、兆し始めた花芯を口にする。同じ男とは思えない程、そこは綺麗な色艶をしている。
 「ハァーーああッヤッーーーマスヤマ」
閉じようとした脚を開き、つうっと先端から括れを通り袋を口に含む。
 「アアッ」
甘さを伴った声が益田の耳に届くと直ぐにでも行為に及びたいと思うが堪える。
舌先が奥まった蕾を突つく。
 「ひゃ、やめーーーマスヤマッ」
身体を捩って逃れようとする榎木津を抑える。
 「駄目です、ちゃんと慣らさないと」
舌で舐め指を差し入れる。
 「ううーーン」
辛そうでいて、どこか艶めいた声を立てる。硬いそこが少し柔らかくなり、入り口はヒクつき始めた。指を増やし、襞を指の腹でなぞる様にすると、きゅっとソコが締まった。
 「アアっ・・・マスヤマ」
 「・・・ッ榎木津さーーー」
蕾に自身を押し当てて、榎木津の脚を大きく広げさせて押し入る。
 「アアアッーーーッ」
 「えのきづさーーッ」
内は熱くて気持ちが良い。もう少し慣らせば良かったと思う程狭いが、既に先端が這入って中程まで埋没させてしまった。
 「だ、大丈夫ですか・・・?」
 「ウン・・・」
返事とも呻きともつかぬ声が漏らされる。
榎木津は眉を潜め睫毛を震わせて耐えている。長い髪の鬘が広がり、その姿を悩ましく彩る。
 「榎木津さん・・・」
益田は榎木津の身体を強く抱く。
 「ああっ・・・」
奥深く這入り込まれて榎木津は益田の身体に腕を廻し、耐える。痛みの奥からじわじわと快楽が押し寄せて来る。
益田は唇を重ね合わせて、榎木津の瞳から零れ落ちた涙を両手で頬を包み込み、掬い取った。
 「・・・ごめんなさい」
 「あっ、謝るくらいなら・・・するなッーーアアッ」
 「そ、そうですよね、ははっ・・・あっ、榎木津さん、動いて良いですか?」
 「う、ウンーーゆっくりしろ・・・」
その言葉通り、ゆっくりと突いた。
 「アッ―――アッ」
 「はあーーー」
襞が益田を締め付ける様に蠢くと堪らず強く突き上げた。
 「あああッーーアン」
榎木津の腕が益田にしがみ付く様に絡ませられる。快楽に浮かされた瞳が益田を見上げるのが酷く色っぽい。
 「アアっ榎木津さんッ」
一度、入り口まで引き、一気に奥まで貫いた。背が弓なりに反り返り、大きな瞳が開かれる。
 「あああ、マスヤマッ」
益田は榎木津の華奢な身体を強く抱き乍ら突き上げる。
 「アッアッアッーーーマスヤマーーッ」
襞が蠢いて締め付けられて、益田は呻く。
 「榎木津さんッ」
榎木津の両手を己の両手に繋ぐと内壁を擦りつける様に腰を進める。繋がって抱き合って居る感覚に益田は涙を流す。
 「---ナキヤマ」
 「嬉しいんですよーーー僕は榎木津さんとこうして居られる事が」
 「変態」
 「いや、そのう、いやらしい事じゃなくて・・・ああっ」
背筋からゾクゾクと快感が押し寄せる。強く深く突き上げるとクラクラする。
 「あっ・・・マスヤマーーーもうーー」
 「アアッーーー僕も限界です」
一気に昇り詰めた。
榎木津の内で弾け、榎木津は自らの腹を汚した。お互い、息が整うまで抱き合って居た。
 「---榎木津さん」
 「んーーー?」
 「一緒に溶けちゃいましたね」
 「---フン」
不機嫌そうな顔をして益田の付け睫毛をびりっと乱暴に剥がす。
益榎 | コメント(0) | 2018/08/21 11:46

マシュマロ 9話

 「お前なんか本当のカマになってしまえばいい、そして僕以外の男に媚びへつらうとイイ!」
ーーーえ?
 「あんなに調子良くへらへらと笑ってーーーああ、腹が立つぞ!」
 「へっ?あんたもしかして」
探偵が横を向いてしまった
 「ーーー妬いてました?」
 「五月蠅い!妬いてなんかいないぞッ、僕が焼くのは餅だけだ、いや、秋刀魚や鰯も焼けるぞ!」
益田は榎木津を思わず抱き寄せた。
 「嬉しいです、凄く」
 「うーーー妬いてなんかーーー」
益田の方から口づける。榎木津は受け入れ、益田は口づけを深くし、強く吸う。
 「う・・・ンッ」
 「お情けで、情を頂いているんだと思って居ましたよ、今もそうかも知れないですけどね」
 「---情けとかじゃないぞ」
今度は榎木津の方から口づけた。
 「ああ、榎木津さんッ」
角度を変えて、薄く開いた榎木津の唇から舌を侵入させる。舌先が触れ合った。
 「ふ・・・マスヤマ・・・」
榎木津は鬘を被ったままなのを気にして取ろうとするのを益田は止める。
 「おい、変態」
 「ケケケ、お互い様ですよ、僕ァシュチュエーションフェチですからね、お忘れですか?僕だけ女装なのは嫌ですよ、あんたは鬘だけなんだから良いでしょ?」
 「おま・・・えッ」
何だか言う前に再び唇を重ねる。舌を絡めると、常に無く、榎木津の方から舌を絡めて来た。
益田は強く榎木津の身体を抱く。
 「ンンッ・・・」
甘い声が漏れる。
 「はあーー榎木津さん、僕はもうーーー」
身体を密着させているので益田の張り詰めたものが榎木津の腹に当たっている。
 「マスヤマーーー」
上気した艶やかな表情で(間違っているが)名前を呟かれて益田はうっとりとその美しい顔を両手で包み込む。ふいっと榎木津はその手から離れた。
 「榎木津さんーーーああ」
榎木津の唇が益田の首筋を這ってゆき、時折ちゅっと口づける。掌は益田の胸元を這わせ、そっと益田自身を掌で包み込む。
 「アッ、榎木津さ・・・ん」
榎木津は益田のスカートを捲り、上下に張り詰めた部分を擦る。榎木津は屈み込み唇を益田の下腹部へと辿り着くと硬くなった部分をその口内へと導いた。鬘の髪がさらりと滑り榎木津の顔を引き立てる。
 「アッそんなーーー榎木津さ・・・」
形の良い、綺麗なさくらんぼの様な唇が益田を咥えている。長い髪を片手で掻き上げて座り込んでいる益田に榎木津は身体を屈ませて、口に含んで上下に榎木津は動く。
 「あっ、駄目ですッて・・・あんた、そんな事しちゃあいけませんッアアーーッ」
榎木津は口を離し
 「何でだ、お前言ったじゃないか、僕ばっかりってーーーそんな事はナイぞ、僕だってこんなことぐらい出来る」
そう言いながら、頬は柔らかな紅を差している。目が合うと、逸らされる。
再び口内に含むと括れや割れ目に舌を這わせきゅっと唇できつく締める。
 「ア、駄目ですッそんなーーーああっ」
視覚と気持ち良すぎる刺激に益田は既に限界だ。ちゅぽっと音を立てて口を離すと袋の部分を舐めて口に含む。益田の太腿に長い鬘の毛が当たりくすぐったくて、それも心地良く感じる。
 「アアッ・・・もう駄目ですッ榎木津さんッ」
駄目だ。良すぎて達してしまう!そう思った瞬間再び益田を口内へと含まれきゅっと敏感な先端を唇で絞められる。
 「あっあああッーーー榎木津さんッーーー」
抑える間もなく達してしまった。はあはあと荒い息を吐き、一瞬頭の中が真っ白になった益田は、ぐったりと身体を弛寛させる。虚ろな視界に眉根を寄せた榎木津がごくりと喉仏を上下させるのが見えた。
ああ、飲み込まれてしまったーーー僕のーーー。
 「大丈夫ですかーーああ、そんな事しなくていいのに、---しちゃあ、駄目ですッて!」
ふん。と顔を赤くし乍ら眼を半眼にし乍ら言う。
 「お前に出来て僕が出来ない訳が無い。---嫌だったか?」
 「嫌な筈無いでしょう?嬉しいですよ、とてもーーーでもなんか」
あんたを穢してしまった様で嫌なんです。
そう言って榎木津を引き寄せて抱き締めた。
 「別に穢れてなんてないぞ。」
 「無理しているじゃないですか」
 「無理なんてしていない。したかったからしただけだ!」
その言葉に感動して益田は唇を重ねた。生々しい味がしたがそれも興奮の材料にしかならない。益田はそのまま榎木津を仰向けにする。もう、止まらない。
 「いい、ーーーですか?」
 「ば、馬鹿ッーーー聞くな」
そう言うと榎木津は益田の背中に腕を廻した。
 「はーーーんッ」
しつこいほど口づけをし、舌を強く吸う。支那服の上から掌を這わせれば、胸の突起に触れる。
 「アンッ」
とんでもない声が上がり、榎木津は口元を手の甲で押さえる。益田はその手に舌を這わし、やんわりと外させる。胸の突起は指先で捏ねる。
 「ンッーーーマスヤマーーーッ」
身体を重ね合う事にお互い慣れて居ない。こんなに甘い声を立てる榎木津は初めてで、益田は頭がくらくらする。支那服の裾から手を入れ直接肌に触れる。
 「あ・・・馬鹿ーー灯りを消せ」
さっき散々益田にした事を考えると今更何をと思ったが、明るい所で自らの肌を晒すのが嫌なのだろう。益田は立ち上がって照明を消した。窓から差し込む灯りだけのモノクロオムの世界を作る。その中で、榎木津だけは色付いて見えた。
再び榎木津に覆い被さり、首筋を跡が残らないように吸う。
益榎 | コメント(0) | 2018/08/20 11:48

マシュマロ 8話

 「そうだ、僕だ!まぬけで愚かな馬鹿下僕!さあ、さっさと帰る!」
今田氏はあっけに取られて益田とその人形の様な人物を交互に見る。
 「君・・・君は誰だ・・・」
掠れた声で問うと、ふっと美しい笑みを見せて大きな瞳で真っ直ぐこちらを見据える。
 「は、はい、帰ります!」
益田は腰を抜かしながら常識外れに美しい人の後ろに廻り込んだ。
 「お、おい、龍子ちゃん」
 「残念ですがこれは僕のものなので、引き渡して頂きます。さあ、マスカマ!しっかり立て!」
襟首を掴み、無理矢理立たせる。益田はまだ、足がガクガクしている。
 「おい、しっかりしロッ!だらしがないぞ」
 「ちょっと待て、その子が君のものだって?それならノコノコとこんな場所来ないだろう」
 「そんなのはこの僕だって、この場所がどんなにいかがわしい場所だと知らなかったのだから、この馬鹿で愚かな下僕が知る訳無いだろう!」
それに、と言葉を繋ぐ。
 「これは、間違いなく僕のだ」
そう言うと益田を引き寄せ、唇を重ね合わせる。
 「ふあ?」
え、榎木津さんが僕に、口づけをしている?!
 「ん・・・」
榎木津の唇から漏らされた微かな声がーーー股間にクル。もっと深い口つけを。と思ったが乱暴に襟首を掴まれて外された。
今田氏の方に向かってにっこりと妖艶に微笑む。見る者を魅了する、性差の別を超えた美がそこにはあった。
 「さあ、こんないやらしい場所、さっさと出るぞ、マスカマ」
言うと、益田の足を蹴る。
 「は、はいい」
ぼんやりとしていた益田は慌てて榎木津の後を追った。


 「焦ったわよう、益田ちゃんがハッテン場に連れて行かれたからはらはらしたわ。私の顔が効く店だから良かったものの、公園とか淫乱旅館に連れてかれていたらどうなっていたかわかったものじゃないわ。---おしりは大丈夫?」
金ちゃんが店の前で待って居て、益田の肩を掴む。どうやら心配を掛けたらしい。
 「どうにか大丈夫ですーーーごめんなさい、僕が不用心でした。」
 「全くだ。この僕がわざわざ鬘まで被ってこの馬鹿を連れ戻さなければ今頃カマを掘られていたゾ、さあ、僕に感謝するがいい!」
榎木津に再度蹴られながら、益田は心底ぞっとする。この二人が居なければ今頃はとんでも事になっていたのだ。
 「本当に済みませんでした。---でも、榎木津さん、何でそんな格好したんですか?そのままでも入れたでしょうに」
馬鹿ッ!と頭を小突かれた。
 「金ちゃんが同性愛者かカマの振りをしろと言ったから、鬘を被っただけだ。化粧はしていないぞ、服もそのままだ」
 「はあ、済みません、僕の為に」
益田は改めて榎木津のその美しさに、感心する。鬘一つで男とも女ともつかない美貌を引き出せるのだ。
 「全くだ!帰るぞこのカマオロカロイヤルスペシャルデラックス肛門男!」
 「肛門男は酷いですよう」
泣き声を上げながら益田は榎木津の後を付いてゆく。
金ちゃんの店に戻って来ると、奥の座敷に通された。六畳くらいの部屋に様々な女物の小物が置いてある。二階へと続く階段が見えるので上に住んで、ここは休憩場にしているのだろう。小さな卓袱台が置いてある。
 「もう、終電もないわよ、あんた達泊まって行きなさいよ。押入れにお客用の布団が入っているわ。私は「桃」のママと朝まで飲んで来るから、あんた達はそこで仲良く寝なさいよ」
 「おい、金ちゃん、この肛門男と一緒に居ろと言うのか」
榎木津は不機嫌そうに益田を指さす。
 「そうよ、一晩一緒に過ごしなさい、じゃあね」
片目を瞑って手をひらひらさせて店を出て行ってしまった。
 「フン。」
畳の上に榎木津は寝転がる。益田は恐る恐る声を掛ける。
 「あの・・・」
 「何だ、カマ。カマ掘られていたほうが良かったか?あの何とかいう男にでも未練があると言うのか、それは何だ!いやらしい!」
わあっと益田は下半身を抑える。下着は剥ぎ取られて付けてないのでモロ解りだ。
 「これはあんたがあんなことをするからーーーそれに、僕のものってーーーそんな事いわれちゃあこうなっちまいますよお!」
 「ちがああう!僕のじゃない、僕の下僕と言ったんだッ」
益田はその場でぺたんと座り込む。俯いて、ポツリと漏らす。
 「そうーーーですよね、僕はただの下僕でーーーあんたに取って僕はどうでもいいんだ」
榎木津は勢い良く起き上がり、その太い眉を顰める。益田はまだ続ける。
 「昨日も・・・僕ばかりあんたを好きで、好きでどうしようもなくてーーー僕ばかり空回りして馬鹿みたいだ」
 「おい、又、ナキヤマになっているぞ、ヤメロ。」
 「口づけされて喜んでーーー本当に僕はどうしようもない男ですよ」
襟首を掴まれた。榎木津の顔が至近距離にある。
 「榎木津さん、僕は・・・」
 「五月蠅いぞ、黙れと言って居る」
引き寄せられ、唇が重なった。驚いて益田は目を見開く。長い睫毛が閉じられているのを見て、口づけをされて居るのだと気が付き、頭がくらくらする。唇を離すと榎木津は
 「こんな事ぐらい何時でも出来るぞ、このナキヤマ」
ふんっ、と踏ん反り返った。顔を少し赤くしている。可愛らしい反応に少し心が和んだがそれでも益田の心中は落ち着かない。
 「こんなことをして、僕をからかっているんですか?やだなあ、冗談きついですよ」
 「馬鹿ッ冗談でこんな事が出来るか!それともお前はさっきの男みたいにあんなことされて喜ぶタイプなのか?」
探偵閣下は激高している。
益榎 | コメント(0) | 2018/08/19 12:04

マシュマロ 7話

 「手だしちゃ駄目よ、純情な子なんだから」
ママが水割りを持って来乍ら言う。
 「解ってるって」
そう言いながら益田の太腿を揉む。---たっ助けてぇ
ちらりと榎木津の方を見ると、腕を組んでそっぽを向いている。まだ腹を抱え爆笑されて方がましだ。無関心の方が傷つく。
何だか益田は無性に腹が立って来た。ヤケクソになって酒の入ったグラスをあおる。飲まなければやって居られないのだ。
 「いやー良い飲みっぷりだねえ、どう、お店上がったらもう一軒付き合ってよ」
しこたま飲んだ益田はぼんやりとしている。
 「一杯だけっすよ」
酔い乍らも仕事の事を考える。一緒に街中を歩いている方が決定的な証拠となるだろう。益田自身が身を持って男と浮気をしているという証拠になるのでこれで調査は完璧だ。探偵は兎も角金ちゃんにライカを渡してあるので写真は撮ってくれるに違いない。
ーーーそれにしてもこのおっさん、いやらしい。
 「肌が綺麗だね、すべすべだよ」
スカートの中に手を突っ込んできて太腿を弄って来る。「きゃあ」と思わず変な声が出た。
 「ちょっーー止めて下さい、冗談きついですよぅ」
やんわりと益田は手を押し返す。ぞわっと寒気がする。気持ちが悪いッ!
 「仕方が無いじゃない、龍子ちゃんが可愛いんだからさあ」
 「龍子ちゃん」
ママが益田の傍に来て耳打ちをする。
 「上がって良いわよ写真が撮れたそうだから」
ほっとしたのも束の間
 「何、龍子ちゃん上がるの?じゃあ待っているからね」
鼻の下を伸ばしながら今田氏は手をひらひらさせている。
 「最後にあのおっさんと連れ立って歩く所を写真に収めて下さいと伝えて下さい」
とこっそりママに告げると裏口から店を出る。既に今田氏は裏口で待って居た。


 「危ないわねえ、大丈夫かしら」
ママは腕を組んでカウンター越しに金ちゃんと探偵に声を掛ける。もう、客はこの二人しか居ない。店の従業員も帰り志度をしている。
 「あの馬鹿オロカ、オロカすぎて何も言えなくなるな!」
 「行くわよ、探偵ちゃん」
二人同時に立ち上がって店を出る。慌ただしく去って行った珍客にママは笑って見送る。
 「頑張りなさいよ、龍子ちゃん」
誰に言うでもなく、そう呟いた。


 「あのう、どこへ行くんです?」
馴れ馴れしく腰に手を廻して益田を連れ歩いている今田氏は薄暗い路地裏の建物の前で立ち止まった。黒い洋館のような外観だ。二階建てのちょっとした金持ちが住んでそうな雰囲気の建物だ。
今田氏は扉の取っ手を掴み、開いた。中は薄暗い。
中にはソファー一組に付き、カーテンで仕切られているという、珍妙なソファーが並んでいる。
どう見ても怪しさが滲み出ている。やばい!
益田は反射的に逃げようとすると案内された席に今田氏は益田を押し込める。
 「うわッ何するんですかあー!」
ソファーに益田を押し倒して伸し掛かる。
 「何って、ここは有料ハッテン場だよーーー淫乱旅館や公園とか事務所の方が良かった?」
刑事時代に聞いた事がある。淫乱旅館は男同士の連れ込み旅館みたいな所で、公園も男同士の性交の場所として有名な、ここらでは新宿公園などが有名だ。事務所とは公衆便所を意味する。いずれも性交を目的とした場所だ。
最近は警察もそういった連中を取り締まるようにはなっていたが、まだまだ無法地帯になっているのだ。
 「わああ、ちょっと、ちょっとまって!」
暴れる益田を抑え込み、スカートの中に手を突っ込まれる。益田は嫌悪感で背中を震わせる。暴力は好まないが仕方が無い。思いっきり蹴りを入れようとしたが抑え込まれた。
 「ふふふ、私は武道を嗜んでいるんだよ、さあ、大人しくしようね」
 「むぐぐっ」
口を塞がれて両足で身体の動きを封じられた。
 「んっ・・・・!」
女物の下着を降ろされて脱がされる。やばい!犯されるう!
ベルトを外して今田氏はズボンのチャックを降ろす。
 「た、助けてーーー!」
口を塞ぐ掌が離されて益田は堪らず声を上げる。
 「榎木津さ・・・!」
 「何だ、呼んだか、この犯され駄目カマ下僕」
声が聞こえた途端、今田氏は後ろに仰け反った。白い手が今田氏を突き飛ばしているのが見えた。
今田氏が驚いて声を荒げた。
 「な、何だお前は・・・・」
だがその声は目の前に立っている天使に驚いて途中で掻き消されてしまった。
そこだけ光が差したかのような錯覚に囚われる。長い金髪の男とも女ともつかぬ者が立っていた。美しい鼻梁。長い睫毛に縁どられた大きな瞳は光の加減で琥珀色に見える。
 「さあ、そんなところでカマ掘られる前に早く僕と、ここを出る!いいね!分かったかこの馬鹿!」
こんな言動と容姿がそぐわない人物は一人しかいない。
 「え、榎木津さん・・・?」
益榎 | コメント(0) | 2018/08/18 12:12

マシュマロ 6話

 「益田ちゃん可愛いから心配だわあ」
 「カマオロカが襲われたらちゃんと写真を撮って記念に残してやるから安心しろ。」
探偵閣下は楽しそうに益田の横に座り、ライカを弄っている。
 「ははは・・・僕にそんな魅力ありませんよ、それにそんな目に遭う前に逃げますって」
 「お前なんか、その何とかという男に襲われればイイ」
 「酷いですよう、何でそんな言い方するかなあ」
電話をしていた金ちゃんが
 「ゲイクラブのママには話を付けておいたから、直ぐに益田ちゃん向かって頂戴」
そう言って嫌がる益田を金ちゃんは引っ張って店を出た。


「クラブ桃」と書かれた看板が店先にぶら下がっている。白い塗料で塗られた木造の外観は一見すると普通の洋風のクラブだが中に入ると五人くらいの女装している所謂オカマの人達が広い店内に居た。ゲイクラブのママは男性とは思えぬ程の細身で目鼻立ちの整った美人だった。年齢は若いのかどうか分からない、ミステリアスな雰囲気の人だった。
益田はこの店の新しい従業員という事で潜入させて貰った。直ぐにカウンターの中に立たされた。
 「本来ならこんな事引き受けないんだけどねーーーあんた達はそういう趣味は無いでしょ?」
紙煙草を蒸しながらママは益田の横に立つとそう言った。
 「まあ、そうですね、ははは・・・」
愛想笑いをし乍らへらへらと笑う。益田は履き慣れない女物の靴に閉口しながら足元を見る。女性のサイズではないのだから特注品だろう。これも金ちゃんが用意してくれた。
 「ソッチの人ではないけど・・・ふうん、なるほどねえ」
ママは煙草の煙を益田に吹きかけて言った。益田は煙に咽る。
 「・・・あんた、あの男と出来てんでしょ?」
益田は驚いて更に咽た
 「な、何を言ってんですかーそんなわけないですよッ」
そう言ってテーブル席の端っこに座って居る黒眼鏡とマスク姿の榎木津と金ちゃんを見て、こちらの会話が届いていないことを確認して安堵する。益田は物凄い汗を掻いてハンカチで額を拭った。
 「恍けても駄目よ、あんたさっきからあの男見て溜息ばかり吐いているじゃない、それに何、その滝の様な汗!」
 「ううっ・・・・」
思わぬ人物に、しかも会って間もない人物に榎木津との関係を暴かれて益田は顔を赤くする。
 「---僕の片思いですよ」
口籠りながら答える。どうにも誤魔化しようがない相手だと踏んで話したのだ。
 「そう?でもあんた達ただならぬ関係だわよねえ」
 「いえ、そのーーー上手くいってないというか、色々とありましてですね」
額から新たに新しい汗が噴き出す。
 「何とも思われていないというかーーーあの人に取って僕は下僕でしかないんですよ」
 「愛しちゃっているのねえ」
灰皿に煙草を押し付けるとママは益田をじっと見つめる。その視線に益田は俯いた。
 「根ほり葉ほり聞くのも野暮よね。---まあ、上手くいくように祈って居るわ」
そう言うとママは益田の頭を撫でた。
 「さあ、開店よ、仕事なんでしょう?元気を出しなさい、あんたの大事な人も見て居るんだから頑張りなさいよ!」
 「はあ、頑張ります」
益田が腹をくくって気合いを入れると扉のドアベルがカランと鳴った。


 「新しい子かい?可愛いねえ」
 「ありがとうございまあす」
カウンター越しにベタベタと益田の手に触って来る男にうんざりし乍ら愛想を振りまく。ちらりと横目で榎木津を見ると肩を揺らしている。どうやら益田を見て笑っているようだ。流石にむっとして睨み付けた。テーブルに頬杖を付きこちらを黒眼鏡越しに見ているようだ。
なかなか今田氏は現れない。今夜は無駄足だったかも知れないなどと思いながらも新人のオカマを演じている。やがて、探偵閣下は飽きたらしく金ちゃんと何か話しているようだった。金ちゃんにちょっかい掛けられたらしく金ちゃんの足に蹴りを入れている。


ケケケと下僕の笑い声がする。何だかんだ言いながら益田はこの状況に慣れて来たらしく調子良く客と喋っているようだ。益田にして見れば単にヤケクソになっていただけの話なのだが。
 「あら、探偵ちゃん、ご機嫌ナナメね」
 「フン、面白くないぞ、あのバカカマオロカ、どんどん調子に乗ってきたじゃないか、カマとして生きるつもりなのかと思うね、もうあんなカマはクビだクビ。」
マスクを外し、紙煙草を口にすると金ちゃんは燐寸を擦って火を付けてやる。
 「気になるのね、益田ちゃんの事、可愛いわよねえ、探偵ちゃんが心配になるのも解るわ」
榎木津は煙草をポロリと落とす。
 「な、何で僕があんな馬鹿を可愛いだの思わなくちゃいけないのだ、心配なんてしてナイ!」
テーブルの上に落ちた煙草を拾ってやり金ちゃんは笑う。
 「素直じゃないわね、探偵ちゃん、うふふふ」
榎木津は煙草を受け取って口に咥え、横を向く。
カラン、とドアベルの音がした。
 「あら、来たみたいね」
金ちゃんが声を潜めながら言う。
銀縁眼鏡の男ーーー今田氏だ。益田は身体に緊張が走る。
 「いらっしゃーい」
 「やあ、ママ、今日も綺麗だねえ」
真面目そうな外見とは裏腹に、にへら、と笑う男の姿に益田は内心、うわあ、助平そうなおっさんだと思った。益田を見るなりにやにやと笑っている。
 「おや、可愛いねえ、君、新人かい?」
 「りゅ、龍子でーす、宜しくお願いしまあす」
 「龍子ちゃんか、良い名前だね、こっちで一緒に飲まない?」
テーブル席へとぐいぐいと腕を引っ張られる。どうやら益田を気に入ったらしい。
まずいぞーーーいや、チャンスか。
席に着くと肩を抱き寄せられるーーーひいいッ!
益榎 | コメント(0) | 2018/08/17 12:25

マシュマロ 5話

 「さあ、トリちゃんの仕事場に行ってから新宿だ!忙しいなあ」
 「何でこんな時だけ張り切って仕事するんですかあ、嫌ですよお!」
 「四の五の言わないで、さっさと行くゾ!」
榎木津はそう言って益田の襟首を掴み、引き摺って事務所から出る。やめてーいやだあーと叫びながら益田は引き摺られて行った。事務所内は台風が去った後の様な静けさだ。
 「益田君が来てから我が探偵事務所は騒がしくなったなあ」
と和寅は呟いて、お勝手に引っ込んだ。


新宿二丁目ーーー一見すると普通の街並みだが、どこか余所者を拒む様な雰囲気がこの街にはあった。
探偵は上下支那服で下は黒いズボンだが、上は派手な赤地に白の牡丹の花をあしらった服を着ている。目立つ格好だと思ったが割とこの街の雰囲気には馴染んで見えた。そこかしこに派手な花柄の模様を着た、恐らくソッチの人だと思われる人達がたむろしている。服装は兎も角
 「何で黒眼鏡にマスクなんですか?目立ちますよ」
 「カマ避けだ。僕は何故か昔からカマに言い寄られる。だからこれは必需品なのだ。」
はあ、と益田は納得したかどうか分からない返事を返す。確かに男女問わず寄って来られる容姿をしているので仕方が無いだろうが。
 「何で榎木津さんまでこんな所に来るんです?調査はしない主義なんじゃないですか、調査なら僕一人で十分でしょうに」
 「何言ってるんだ、マスカマがカマになる所が見たいじゃないか、そんな面白いものを僕に見せないつもりか?」
はあ、と益田は深い溜息を吐く。
バーや、クラブが点在して居て、何となく怪しげな雰囲気を醸し出している。こんな所に潜入するのかと考えると逃げ出したくなる。
 「ここだ、マスカマ、金ちゃんの店だ、さあ、入るぞ!」
バーが並んでいる一角に「BAR金ちゃん」とピンク色の文字で書かれた看板が目に入る。それ以外は至って普通のありふれた作りの店だ。扉を勢いよく開けて探偵は店に入り込む。
 「金ちゃん、わははは。お世話になりに来たゾ!」
 「あら、探偵ちゃん久し振りねえ、何、その黒眼鏡とマスクは?綺麗な顔が見えないじゃない」
女装をした金ちゃんがカウンターから出て来た。内装も至って普通の作りである。奥が座敷になっているので店舗兼住居のようだ。
 「何をしているマスカマ、早く入る!」
 「は、はあ・・・」
バーの扉の前で益田はおろおろしている。前回のオカマ騒動の時に金ちゃんにはお世話になってはいるのだが。
 「あら、益田ちゃん、あたしの事見捨てて逃げた事なんてもう、気にしてないわよ、さあ、こっちにいらっしゃい」
そう言うと、益田の腕を引っ張り、中へと引き入れた。
 「嫌だあ僕は女装なんてしないんだあ」
 「何言ってんの、だらしないわねえ、ここまで来たのなら腹くくりなさいよぅ」
 「そうだぞ、カマオロカ、お前男だろう、晴れてカマになれ!」
何滅茶苦茶な事を言ってんだこのおじさん達は!
 「わああっ」
金ちゃんに着ていた背広を脱がされて更に下着まで脱がされた。代わりに女性物の下着を穿かされて益田は泣く。
 「ううう、何で下着まで・・・そこまでする必要ないじゃないですかあ」
金ちゃんは益田の胸に詰め物をし乍ら
 「見られた時に男物穿いていたらカマじゃないとばれるわよ」
そう言いながら手早くレースの付いたブラウスとピンク色のスカートを穿かされる。
榎木津はわははは。と始終笑いっぱなしだ。
 「さあ、次はお化粧ね、あら、綺麗な肌しているじゃない」
カウンターの椅子に座らされて、化粧箱から白粉を取り出して金ちゃんは益田の顔面に塗りたくる。
げほっごほっと白粉の粉に益田は咽る。
 「あらあら、化粧映えするわねえ、これは腕が鳴るわ」
つけ睫毛を付けられて、ううう、と益田は唸る。眉墨や紅を差し、金ちゃんは満足そうに益田の顔を眺める。
長い前髪は髪留めで左右に分けておでこを全面に出すとこめかみの片方だけに薔薇の花をあしらったピンクの髪飾りを付けられる。
 「出来たわ、見て、探偵ちゃん、可愛いでしょ」
 「おおっイイぞ!流石は金ちゃん!可愛くなったぞ!」
姿見を持ってこられて益田は驚愕する。若い頃の母親そっくりだ。吊りがちの目も切れ長な目元になって居て、中々色っぽい女になっている。ここまで完璧にされてしまっては益田は居たたまれない。
 「ちょ、写真撮らないで下さいよ」
鳥口から借りたライカで榎木津は写真を撮っている。
 「ちゃんと調査をした証拠が必要だろう、僕はお前の協力をしてやっているのだ、わははは。」
はあーと本日何度目かの深い溜息を吐いて、益田は女装姿で本題へと話を変える。写真を見せて
 「これが、今田勇さんです、どうですか?この界隈で見かけた事あります?」
金ちゃんは頬に手を当てて
 「ああ、知って居るわよ、ここの三軒先のゲイクラブに最近出入りして居るわよ。銀縁眼鏡の一見真面目そうな男だけどーーーこの人とんでもないわよ」
 「へっ?何がです?」
 「女装した男の子・・・オカマね、特に益田ちゃん、あんたの様な若い子が大好きで、そこの出入りしている店のママも困った客だとぼやいていたわよう、お店の若い子やお客にいやらしい事をしてくるって」
 「うわあッ」
とんでもない人物だった。
益榎 | コメント(0) | 2018/08/16 14:05

マシュマロ 4話

今田、と名乗った婦人は鞄から何やら取り出した。写真だ。テーブルの上に差し出された写真の人物は眼鏡を掛けた、実直そうな男性が写っていた。年の頃は四十過ぎくらいか。
 「主人です。」
 「はあ。」
今田勇ーーーとご主人の名前を告げた。それっきり今田夫人は黙ってしまったので益田は率直に聞いてみた。
 「失礼ですが、そのーーーご主人の素行調査ですか?」
ビクリ、と今田夫人は肩を揺らした。
 「---ええ、お願い致したく存じます。」
と、口籠る。この夫人の態度から察するにどうやらまともな依頼ではないらしい。
 「その、失礼ですがーーーご主人が奥様に対して不義理をなさっていると、そう受け取って宜しいのでしょうか?」
夫人は益々俯いて
 「仰る通りです、主人の・・・その帰りが遅くて浮気を疑っていたのですが・・・」
ああ、何だやっぱり浮気調査だ。
 「成程ーーー決定的な証拠がないということですな」
和寅が茶を淹れて持って来た。テーブルの上に置いて依頼人に勧めると益田の横に座る。好奇心たっぷりの視線で依頼人を見て居る。相変わらず下世話だ。
 「そうです、その・・・証拠を・・・その・・・押さえて頂きたいと・・・」
何だか口調がはっきりしない。こういった依頼の場合、大抵は依頼人は怒り心頭で宥めるのが大変なのだが、どうも様子がおかしい。そう思いながらも益田は質問を続ける。
 「お相手の方は、見当がつかれておられるのですか?」
びくっ、と夫人は身体を揺らした。何かを言い淀んでいる。
 「いえーーーそれが、特定の相手という訳では無くーーーとある場所で、その、複数の方と・・・」
 「ははあ、悪所通いですな、花街とか赤線とか、女性を買う様な・・・あ、私はここの秘書でして」
和寅が口を挟む。夫人は和寅をちらりと見て、又、目を伏せた。
 「悪所・・・なんでしょうね・・・・・」
と、言い淀む。SMクラブか何か、後ろめたい場所なんだろうか?夫人はハンカチを散り出して口元に当てる。余程言いにくい場所らしい。
 「あの・・・ッ本当に潜入捜査が得意なんですか、益田さん」
益田は調子よく己の胸を拳でどんと叩き
 「任せて下さいッ僕ァ得意中の得意ですよ、ゴミ箱の中でも潜入出来ます!便所の中でもご主人の素行を見守りますよ!」
 「ゴミ箱や便所の中かね、汚いなあ、君は」
和寅は呆れた顔で益田を見る。
 「それでは、お願いしようかしら」
 「お任せください、どこでも調査致しますよ!」
夫人がその場所を告げると益田は立ち上がり
 「え、ええええええええーーー!?」
驚きと戸惑いの声を上げた。その途端、バタンと奥の扉が開かれた。
 「わはははははっ面白い!お引き受けしましょう!そこの方、このカマオロカに相応しい依頼だ!」
と、探偵が派手に登場した。


 「ううう、酷いですよう・・・どうして僕がこんな事・・・」
 「何言っている、カマのお前にぴったりな仕事じゃないか!マスカマが本物のカマになる日が来たのだ、わはははは」
益田は頭を抱え込んで泣いている。
 「金ちゃんに電話をしておいてやったゾ、全面協力してくれるそうだ、良かったな、カマ!」
 「良くないですッ何で僕がおかまにならなくちゃいけないんですか!幾ら二丁目でも他に潜入の仕方があるでしょうに」
榎木津は腕を組みながら探偵の椅子に腰掛けている。
 「何言ってんだお前、じゃあ、客のふりしてゲイクラブに潜入するのか?オカマ好きか男好きの振りしなくてはならんだろう」
 「それも嫌ですよぉ」
依頼内容は要するに、旦那が夜な夜な二丁目のゲイクラブに出入りしていて、どうやらよからぬ事をしている様なので、どうかその決定的な証拠を押さえて欲しいとの事だった。
 「それならカマの振りをした方が良いだろう、なあ、和寅」
 「ぐふふっ、先生の言う通りだよ益田君、ここは依頼人の為に一肌脱いで、女物の服を着て張り込みをしたらどうだね」
わはははははッと事務所内が笑いに包まれる。益田は居たたまれない。探偵閣下は
 「トリちゃんに写真機を借りてきてやろう、なんなら実家から持ってきてやっても良いぞ、何しろ証拠が必要だからな」
まずはトリちゃんに電話してやろう。と言って電話を掛け始めたのを見て益田は益々意気消沈する。それを見て和寅はぷくく。とまたもや笑う。
 「僕じゃなくても良いでしょうに、そうだ、和寅さんなんかスカート似合いますよ!和寅さんが女装して下さいよ」
 「和寅は駄目だ、女装しているインド人にしか見えないぞ、その点、お前はカマだから立派なカマになれるッ」
鳥口に電話を掛け終えた榎木津が仁王立ちで益田の前に立ちはだかる。
 「僕はカマじゃないですよお」
榎木津は大きな目を半眼にして益田をじっと見つめる。
 「カマじゃないか。」
 「ううっ・・・・」
耐え切れなくなって両手で顔を覆う。昨夜この探偵閣下にしたことを思えば何も言えなくなる。榎木津の視線は昨夜の事を咎めて居る様に思えるのだった。
 
益榎 | コメント(0) | 2018/08/15 13:26

マシュマロ 3話

唇をずらし、榎木津の口から零れたワインの紅い筋を舌で舐め上げる。そのまま首筋に唇と舌を這わせる。榎木津の身体が震え出した。
 「あっ・・・やめっ、マスヤマ」
 「榎木津さん、あんたマシュマロみたいです、柔らかくて甘い・・・」
 「こっこのッ」
馬鹿ッ!と思いっきり頭を殴られた。益田は目の前で星が舞うのをクラクラしながら眺めながら
 「いててっ」
と殴られた箇所を押さえた。
 「何しているこの馬鹿カマオロカ!いやらしいったらないぞ!」
 「だってぇ、榎木津さん・・・」
 「だってもさってもない、いやらしいぞこのカマ!」
益田は身を竦ませもじもじしながら
 「少しくらい良いじゃァないですか、僕ぁ何時でもあんたの事考えすぎておかしくなりそうですよ」
顔を上気させながら榎木津は横を向いた。ご機嫌ナナメだ。
 「フン、お前なんか知らないよーーーもういい、寝るッ!」
そう言うと益田に背を向けどかどかと音を立てて自室へと向かう。
 「待ってくださいよ、榎木津さぁん」
益田は見捨てられた子供のように榎木津に追い縋ろうとしたが、バタンと無情にも扉が閉められる。
 「榎木津さん・・・」
榎木津の自室の前に座り込む。はあ、と深い溜息を吐く。暫くその部屋の前から動けなかった。
性急すぎたのかーーー床に視線を落とし、再び溜息が出る。
想いが通じ合い、身体も重ね合った。何度か寝所を共にしたが。お互いに慣れていない。
誘うのはいつも僕から。
何だか独り相撲を取っているようで虚しさを感じる。
欲しがるのは僕の我儘なのだろうかーーーせめて抱き締めて唇を重ねる事くらい許して欲しいなどと、自分勝手な思考に陥り自己嫌悪に苛まれる。
 「あーあ」
わざと大きく伸びをして扉から離れる。立ち上り、探偵の机へ向かうと、片付けを始める。酒の瓶を収納棚に納めて、氷入れと水差しを流し台に置く。グラスの榎木津の唇が触れていた箇所を人差し指でなぞる。---ああ、女々しい!想いを振り切る様にグラスをがしゃんと音を立てて乱暴に置いた。後は和寅がやってくれるだろう。
酒と水で濡れている床を雑巾で拭く。先程のだらしない探偵を思い出して、ふふ、と笑う。可愛い人だと心底思った。
探偵の椅子に座り出したままの瓶に入ったマシュマロを一つ手に取り、口に入れる。
何だかとても苦い味がした。
結局事務所に近い場所にある下宿には戻らず、ソファーに毛布を引っ被って横になった。この応接室の直ぐ傍の部屋にはあの人の自室がある。
 「榎木津さん・・・」
ぎゅっと益田は毛布を握り締めた。近くに居るのに酷く遠い。そう感じられた。


 「益田君、どうかしたのかね、何だか元気がないなあ」
和寅が濃い眉毛を顰めて繁々と益田を見ている。
 「何でもないですよ、ちょっと昨晩寝られなくッて」
ふあっと欠伸をし乍ら倦みつかれた顔で答える。益田はソフアーに凭れ掛かり、乗馬用の鞭を弄り乍ら事務所の掛け時計に目をやる。十時半ーーー。
榎木津が起きて来るのは昼くらいだろう。昨夜、無体な事をしでかした益田にとっては榎木津に合わせる顔は持ち合わせては居ない。---ああ、どうしよう。もしかしたら放逐されるかもしれない。
 「益田君、君大丈夫かい?顔色が悪いぜ?少し私の部屋で横になったらどうだね?」
 「だ、大丈夫です、和寅さん、嫌だなあ、僕ァ元気ですよ、元気。」
へらへらといつも通りの態度で切り返す。
 「それならいいけどもねえ」
和寅が不審な目を向けて来る。その視線に耐え切れなくなった時、事務所のカウベルがカランと鳴った。
 「いらっしゃいませー」
天の助けと言わんばかりの軽快な調子で益田が出迎える。客だ。扉を閉じて小柄な婦人が少し俯き加減で立っていた。
 「さあさあ、どうぞこちらへ」
和寅はソファーへと案内をする。お勝手へ茶の用意しに行く和寅が益田とすれ違いざま
 「君の得意な浮気調査だろうね」
と、耳打ちする。まあ、そうだろうなと見当をつけていつもの調子で依頼人らしき女性に
 「どうも、薔薇十字探偵社の探偵助手の益田です。探偵は今、取り込み中でして・・・代わりに僕がお話をお伺い致しますので御安心ください」
と挨拶をした。婦人は
 「今田です」と小さな声で答えた。年の頃は三十代後半か。白いブラウスと薄茶のスカートといったありふれた服装だったが、上品な雰囲気を供えていた。長い髪を一つに纏め上げている。美しい顔立ちだがどこか倦み付かれた様な印象を見たものに与える。
 「本日はどういった御用件で?調査依頼ですか?何でも調査致しますよ。」
 「何でも・・・ですか?」
 「ええ、何でもです、潜入も致しますよ、僕ァ潜入調査も得意でしてね」
 「そう・・・ですか・・・でも、こんなお話お引き受けして頂けるかどうか・・・」
益榎 | コメント(0) | 2018/08/14 14:54

マシュマロ 2話

その美麗な容姿を裏切る奇矯な行動と言動の数々に呆れ乍らも、つい、可愛く思えてしまう己の思考に情けなくなる。
ーーー仕方が無い。僕はーーーこの奇天烈な人が好きなのだから。
その益田の思考を遮るように探偵が何やら机の引き出しを開けてがさがさと漁っている。
 「つーまーみーッ」
と言って瓶に入った菓子を机の上にどんと置く。
 「あんたねえ、探偵机に何入れてるんですか」
益田は呆れて言う。
 「他に何を入れるというのだ。机の引き出しは飾りじゃないぞ、物を入れる為に作られているのだ、ほれ、にゃんこの箸置きにわんこの置物まで入るぞ、どうだ、可愛いだろう!」
引き出しの中はぐちゃぐちゃで探偵曰く可愛らしいもので埋め尽くされている。
 「ああ、わざわざ見せなくてもいいですから」
この探偵に掛かると机の引き出しは我楽多入れになってしまう。
ふと見ると探偵のグラスの中身が空になっていたので、益田が酒を作ってやる事にする。
 「これくらいでいいですか?」
酒の分量を問うと
 「もう少し多めダ」
 「だから、ロックと変わらんですって」
そう言いながらも淹れてやる。益田が酒を作る事でこれ以上床が濡れなくて済む。
 「んまいっ」
先程の瓶を開けて白い柔らかそうな菓子を口に入れている、ボロボロと溢している。
 「何ですか、ソレ?」
 「マシュマロだ、あまーくてうんまい」
 「普通つまみには乾きものでしょうーーーああ、水気のない菓子はお嫌いでしたね」
瓶を益田の方に向けて、ホレ、と言われたので一つつまむ。真っ白くて柔らかなそれは口の中で柔らかく溶けてふわっと甘さが広がった。
 「甘い・・・白くて柔らかくて・・・あんたみたいです」
言った瞬間己の失言に気が付いて、探偵の顔色を窺う。
 「んん?どこが?何でマシュマロが僕なんだ?」
ーーー白くて柔らかい箇所を舌先で擽り、口に含むと甘い味がする。という、不埒な妄想が膨れ上がる。
 「い、いえ何でもないですよぉ忘れて下さい」
慌てて手を振り自らの淫らな妄想を打ち消そうとする。
 「ふうん、変な奴め」
訝しがりながらも単純な所がある榎木津は益田に気に止めずグラスを煽る。
益田は事務所の予備の椅子に腰掛けて酒を飲みながら探偵の話に耳を傾ける。
 「またまたぁ、その話、嘘でしょー僕を担ごうったッてそうは行きませんよ」
探偵の荒唐無稽な話に茶々を入れる。
 「嘘なものか、本当だぞ。嘘だと思うならマチコサンに聞いてみるといい」
グラスを空にして益田に差し出す。ウイスキーを淹れようとすると
 「ワインが飲みたい、左から三本目の奴」
 「ハイハイ」
コルク栓でコルクを抜く。ぽんっと音を立てて栓を引き抜いた上手く抜けたわけでは無いだろうが、榎木津が開けると周り一帯ワインで濡れるだろう。
 「どうぞ」
 「うん」
グラスを差し出すとそのまま榎木津は口に運ぶ。ごくりと白い喉仏が動き、紅い液体が飲み込まれてゆく。さくらんぼの様な色艶の唇から、つうっと紅い雫が垂れて、その白磁の様な肌を彩る。その艶めかしさに思わず益田は立ち上がり
 「榎木津さんっ」
上擦った声を上げて榎木津の手首を掴んだ。がたんと大きな机が音を立てる。
 「な、何だバカオロカ」
酒のせいでほんのりと上気した頬が白い肌に映えて色っぽい。榎木津の手の中にあるグラスを取りあげ机の上に置き、グイッと肩を引き寄せた。
 「マスヤマ、何を・・・」
 「榎木津さんっ好きですッ」
益田は顔を近づけ、その形の良い唇に吸い付いた。
 「んんッーーー」
息が上がる。一度唇を離し、別の角度で口づけた。
 「アッ・・・」
榎木津が小さく声を立てる、唇が開き益田はそこから舌を入れ榎木津の口内を味わう。
舌が触れ合った。
 「ンッン・・・ッ」
 「はあ、榎木津さん・・・」
身体を引き寄せて抱き締める




益榎 | コメント(0) | 2018/08/13 12:52

マシュマロ 1話

 一通り書類の整理が終わり、薔薇十字探偵社の探偵助手、益田龍一は事務所の時計を見る。---午後十一時を過ぎた所である。秘書件給仕(探偵のお守役でもある)安和寅吉は早々に自室へと引っ込み、寝てしまったようだ。
ちらりと益田は正面を見る。ここの主である探偵の榎木津礼二郎は「探偵」と書かれた三角錐の先端を指先でつんつんと突つき乍ら大きな机の上に洋酒を並べて物色している。その後ろ姿に益田は躊躇いがちに声を掛ける。
 「あのう・・・」
 「んー?」
なあに?と振り返った西洋陶磁器人形の如き整った容姿にどきりとする。
 「い、いえ、その・・・」
ああ、とその大きな鳶色の瞳を益田に向けると
 「何だ!お前も飲みたかったのか、そうか、そうなんだな、よし、グラスを二つ持って来なさい、水もね。あと、氷も買って来てあるから持って来るように!ゴキブリ男は寝てしまったのだからお前が用意しなさい、マスカマオロカ。」
 「はあ・・・」
酒を飲みたかったわけではないのだけれども。
 「早くするッ!」
 「はいはい」
慌ててお勝手に入り用意をする。水差しと氷入れを探しながら溜息を吐く。---まあ、帰るつもりじゃなかったのだし、あの人の酒の相手をするのも悪くない。本音を言うと下心たっぷりなのだ、こっちは。
もしかすると酒の勢いでご寝所に招いてくれるかもしれないというあり得ない妄想までしてしまっている。
 「馬鹿オロカまだか」
 「はいはい、用意出来ましたよっと」
いつもの幇間振りを発揮しながら盆の上にグラスと氷入れと水差しを乗せて探偵の机の上に置く。
うむ。と、腕を組み仁王立ちで榎木津は満足そうだ。
 「よし、では神自ら作ってやろう、ウイスキーの水割りでいいな?有り難く思いなさい」
 「有り難く頂戴致しまーすッ」
と調子に乗って益田はグラスを差し出した。榎木津はグラスに砕いた氷を入れ並べてある洋酒の一つを手に取って封を切ると中身をドバドバと注ぎ、更に水を注ぐ。乱暴だ。グラスから溢れて机の上が濡れた。
 「さあ、飲め」
グラスに目一杯注がれた水割り(ウイスキー7・水3の割合)を受け取ると
 「頂きます」
と溢し乍ら飲んだ。酒には強い方だが、喉が焼けそうに濃ゆい度数の酒に益田は閉口する。
 「どうだ、旨かろう!」
 「いやいや、きついですって、これならロックで飲んだのと変わらんですよ」
 「何だ、文句を言うな、さあ、乾杯だ」
榎木津は自分の分を先程と同様にグラスに溢れ返る程酒を淹れて溢し乍ら益田のグラスにカチンとぶつける様に乾杯をしたものだから床にぽたぽたと酒が零れる。
滅茶苦茶だ。そう思いながらも美味しそうに酒を飲み、その白く細い首筋に視線を送る。
ぷはあ。
 「うんまいっ」
とにこにこと笑う榎木津を見て少し視線を逸らす。---何、この可愛いおじさん
益榎 | コメント(0) | 2018/08/12 14:34

マシュマロ 注意書き

・益田女装ネタ
・ゲイクラブは1960年にはあったので1950年代にもあったと思われるという設定です。
・色々とあらゆる意味で酷い。

上記が平気な方のみどうぞ♡
益榎 | コメント(0) | 2018/08/12 13:24

初めまして

今更百鬼夜行シリーズに嵌り、更にマイナーな益田×榎木津に嵌ってブログを立ち上げました。甘々な駄文サイトですが宜しくお願いいたします。イベント参加も少ししています。https://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=69220056
未分類 | コメント(0) | 2018/07/14 12:16
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