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マシュマロ 2話

その美麗な容姿を裏切る奇矯な行動と言動の数々に呆れ乍らも、つい、可愛く思えてしまう己の思考に情けなくなる。
ーーー仕方が無い。僕はーーーこの奇天烈な人が好きなのだから。
その益田の思考を遮るように探偵が何やら机の引き出しを開けてがさがさと漁っている。
 「つーまーみーッ」
と言って瓶に入った菓子を机の上にどんと置く。
 「あんたねえ、探偵机に何入れてるんですか」
益田は呆れて言う。
 「他に何を入れるというのだ。机の引き出しは飾りじゃないぞ、物を入れる為に作られているのだ、ほれ、にゃんこの箸置きにわんこの置物まで入るぞ、どうだ、可愛いだろう!」
引き出しの中はぐちゃぐちゃで探偵曰く可愛らしいもので埋め尽くされている。
 「ああ、わざわざ見せなくてもいいですから」
この探偵に掛かると机の引き出しは我楽多入れになってしまう。
ふと見ると探偵のグラスの中身が空になっていたので、益田が酒を作ってやる事にする。
 「これくらいでいいですか?」
酒の分量を問うと
 「もう少し多めダ」
 「だから、ロックと変わらんですって」
そう言いながらも淹れてやる。益田が酒を作る事でこれ以上床が濡れなくて済む。
 「んまいっ」
先程の瓶を開けて白い柔らかそうな菓子を口に入れている、ボロボロと溢している。
 「何ですか、ソレ?」
 「マシュマロだ、あまーくてうんまい」
 「普通つまみには乾きものでしょうーーーああ、水気のない菓子はお嫌いでしたね」
瓶を益田の方に向けて、ホレ、と言われたので一つつまむ。真っ白くて柔らかなそれは口の中で柔らかく溶けてふわっと甘さが広がった。
 「甘い・・・白くて柔らかくて・・・あんたみたいです」
言った瞬間己の失言に気が付いて、探偵の顔色を窺う。
 「んん?どこが?何でマシュマロが僕なんだ?」
ーーー白くて柔らかい箇所を舌先で擽り、口に含むと甘い味がする。という、不埒な妄想が膨れ上がる。
 「い、いえ何でもないですよぉ忘れて下さい」
慌てて手を振り自らの淫らな妄想を打ち消そうとする。
 「ふうん、変な奴め」
訝しがりながらも単純な所がある榎木津は益田に気に止めずグラスを煽る。
益田は事務所の予備の椅子に腰掛けて酒を飲みながら探偵の話に耳を傾ける。
 「またまたぁ、その話、嘘でしょー僕を担ごうったッてそうは行きませんよ」
探偵の荒唐無稽な話に茶々を入れる。
 「嘘なものか、本当だぞ。嘘だと思うならマチコサンに聞いてみるといい」
グラスを空にして益田に差し出す。ウイスキーを淹れようとすると
 「ワインが飲みたい、左から三本目の奴」
 「ハイハイ」
コルク栓でコルクを抜く。ぽんっと音を立てて栓を引き抜いた上手く抜けたわけでは無いだろうが、榎木津が開けると周り一帯ワインで濡れるだろう。
 「どうぞ」
 「うん」
グラスを差し出すとそのまま榎木津は口に運ぶ。ごくりと白い喉仏が動き、紅い液体が飲み込まれてゆく。さくらんぼの様な色艶の唇から、つうっと紅い雫が垂れて、その白磁の様な肌を彩る。その艶めかしさに思わず益田は立ち上がり
 「榎木津さんっ」
上擦った声を上げて榎木津の手首を掴んだ。がたんと大きな机が音を立てる。
 「な、何だバカオロカ」
酒のせいでほんのりと上気した頬が白い肌に映えて色っぽい。榎木津の手の中にあるグラスを取りあげ机の上に置き、グイッと肩を引き寄せた。
 「マスヤマ、何を・・・」
 「榎木津さんっ好きですッ」
益田は顔を近づけ、その形の良い唇に吸い付いた。
 「んんッーーー」
息が上がる。一度唇を離し、別の角度で口づけた。
 「アッ・・・」
榎木津が小さく声を立てる、唇が開き益田はそこから舌を入れ榎木津の口内を味わう。
舌が触れ合った。
 「ンッン・・・ッ」
 「はあ、榎木津さん・・・」
身体を引き寄せて抱き締める




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益榎 | コメント(0) | 2018/08/13 12:52
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